気体でも液体でも固体でもない!物質の第4の状態「プラズマ」
私たちは小学校の理科で、この世の物質は温度によって「気体」「液体」「固体」のいずれかの状態を取ると教わります。
しかし、ラングミュアは、この3つの状態に収まらない第4の状態としてプラズマを発見したのです。
最初発見は真空管の中でしたが、プラズマは通常、物質を非常に高温に加熱されたとき、気体よりもさらに上位のエネルギー状態として現れます。
通常高温の物質は分子がバラバラに飛び交って気体になりますが、さらに高温の状態になると、分子どころではなく原子を構成する電子と原子核(陽イオン)がバラバラになってしまうのです。
つまりプラズマは、原子を形作るための電気的な結びつきの力よりも、熱運動量の方が上回ってしまい、原子の基本的な構造を保てなくなってしまった状態なのです。
このバラバラになった電子が原子のもとに戻ると、電子は持っていた余剰エネルギーを光として放出します。そのためプラズマは自己発光する性質があり、これがオーロラやネオン管の光の正体です。
またプラズマは電離したガスであるため、電気や磁場の影響を受けやすい性質を持ちます。
例えば最近良く耳にする太陽嵐の原因はプラズマです。
太陽の中心部は温度が1600万度に達し、水素がプラズマ状態になっています。これが太陽の大気(コロナ)となって太陽の周囲を覆っているのですが、磁場の乱れで太陽表面に激しい爆発(フレア)が起きると、この磁場の影響で太陽のプラズマが吹き飛ばされ、太陽嵐となって宇宙空間を吹き荒れます。
太陽嵐では太陽の電離したガスが激しく降り注ぐため、地球上の通信を乱したり、電子機器を破壊してしまうのです。
このようにプラズマは色々と特殊な性質を持った物質の状態です。しかし、宇宙ではもっともありふれた物質の状態の1つであり、99%以上の物質がプラズマ状態だとされています。
太陽や星々、さらには地球のオーロラや雷もプラズマです。このため、プラズマを理解することは、宇宙や自然現象を理解するために不可欠です。また、核融合研究や宇宙探査、さらには先進的な材料科学にもプラズマの知識は不可欠です。
そのため物理学ではプラズマ自体を扱うプラズマ物理学という分野が登場することになったのです。
ではプラズマの理解は、現代の私たちの生活にどの様に役立っているのでしょうか?