水槽に紛れ込んだ謎の甲殻類の正体とは?
水族館の水槽には、私たちの目を楽しませてくれる様々な海の生き物たちが展示されています。
しかしその水槽の陰に、展示の主役ではない小さな生き物たちが紛れ込んでいるのをご存知でしょうか。
彼らは一般に、ライブロック(付着生物のついた死んだサンゴの塊)や海底砂と一緒に意図せずして水槽の中に紛れ込み、その中で繁殖した者たちです。
そのため、彼らがいつどこから来たのかもよくわからず、調べてみると正式な学名のついていない未記載種であることもあります。
研究チームが2009年に、名古屋港水族館の水槽内で発見した甲殻類もそうした故郷知れずの一種でした。
この小さな甲殻類は900種以上が知られている「タナイス目」のグループに属することがわかっており、体長は3〜7ミリほどしかありません。
同チームの角井敬知(かくい・けいいち)氏は、水族館で採集した個体を研究室で繁殖させ、何世代にもわたって繁殖させるコロニーを確立しました。
それ以来、この未知種の調査を進めており、タナイス目の中のアプセウデス(Apseudes)属の一種であることを明らかにしましたが、すでに見つかっている既知種なのか、まだ学名のついていない新種なのかは特定できずにいたのです。
そこで研究チームは今回、この謎の甲殻類の正体に決着をつけるべく、新たに調査を行いました。