人は短時間でも退屈な時間を嫌う?
研究チームは、人々が何もしないでいることに対してどのような感情を抱くかを調べるため、一連の実験(合計で200名以上が対象に)を行いました。
最初の実験では、18歳以上の大学生を参加者としてスタートしています。
参加者は椅子と机があるだけの真っ白な壁の小部屋に閉じ込められ、椅子に座って「何でもいいから一人で考え事をしたり、空想にふけるよう」指示されました。
これを6分間、12分間、15分間で行い、実験終了後に「その時間が楽しかったか、どれくらい集中できたか」などの質問に9段階評価で答えてもらいます。
その結果、参加者の回答は平均して9段階評価の真ん中以下であり、ほとんどが「一人で考え事をするのは楽しくない、集中できない」と答えていました。
しかし、この結果は狭い実験室や活動性の高い若者のみに焦点を当てていたことに起因するのではないかと考えられました。
そこでチームは次に、18歳〜77歳までの参加者を募り、彼らに自宅の部屋を使って先と同様の実験を行いました。
ところが年齢層や実験環境を変えても、全体的な結果に違いはありませんでした。
何もない小部屋での実験より「楽しかった、集中できた」という回答は増えず、約3分の1の参加者は指示を破って、実験中にスマホを触ったり、パソコンでネットサーフィンを始めたのです。
この傾向は男女ともに等しく見られ、人々は短時間でも何もしないでいることに苦痛を覚えていました。
それならと、研究チームは実験内容をさらに発展させてみることに。
「何もしないで退屈でいる」か「自らに電気ショックの痛みを与える」以外行動の選択肢がない場合、人はどちらを選ぶのか検証してみたのです。