・ローレンツ対称性は、物質の相対速度にかかわらず物理法則が保たれるとする法則でアインシュタインの理論の基礎となっている
・高エネルギー状態のニュートリノでは、ローレンツ対称性が破れるのではという考えがあった
・アイスキューブのデータから、高エネルギーのニュートリノでもローレンツ対称性が維持されることが分かる
先日、銀河系外からの高エネルギーニュートリノの発生源が解明され、ナゾロジーでも下記記事で紹介しました。
https://nazology.kusuguru.co.jp/archives/15473
それによって、宇宙で最も軽い素粒子も従来の理論に従うことが示され、アインシュタインが再び正しいことが証明されたと話題になっています。
専門家の中には、小さくてエネルギーの高い素粒子では「アインシュタインが基本としているローレンツ対称性原理に従わない」という主張をする人もいます。しかし今回の研究は、どのような粒子も同じ物理法則に従い、その結果ある一定のスピードで進むことを示しているのです。
現在最も厳格なテストによって、ニュートリノと呼ばれる素粒子が信じられないほどの高エネルギーが作用しているにもかかわらず、ローレンツの原理に従っていることが証明されました。一世紀にも渡って様々な科学者たちが繰り返し挑んだにもかかわらず、1905年に最初に発表された論文のアインシュタインの宇宙法則が、この結果によって再び勝利を収める事になりました。
「人々はアインシュタインの理論を試すのが大好きです。アインシュタインが勝った時と負けた時、どちらが人々を喜ばせるのかはわかりませんが、今回の勝負もアインシュタインの勝ちであり、素晴らしいことです。彼がやったように多彩な理論を思いつくことができたのは、並外れたことなのです」と述べるのは、論文の筆頭著者でMITのジャネット・コンラッド教授です。
ローレンツ対称性によると、物体は光と同じスピード秒速3億メートルを破りません。このスピードは宇宙飛行士が宇宙を旅しようが、顕微鏡サイズの分子が血流に乗って動こうが、無関係で変化しません。しかし、科学者たちは素粒子が非常に高いエネルギーを加えられた場合にもこの原理に従うのかを長らく疑問に思っていました。このような極端な状況下で、ローレンツ非保存場として知られる神秘的で未確認の場が、アインシュタインでさえ予測できなかった方法で、物質の振る舞いを歪める可能性があります。
それを確かめるため、科学者たちは南極の氷の下に埋まっている巨大なニュートリノ検出器、アイスキューブ・ニュートリノ観測所で集められた2年間のデータを解析。ニュートリノの流れが地球を通過する時、氷にぶつかる物もありミュー中間子と呼ばれる素粒子を放出します。それは光を発するので、アイスキューブのセンサーで検出できるのです。
研究者たちは、このシステムを通過するエネルギーの高いニュートリノの動きと強さを、記録を元に計算しました。その振れの中に、ローレンツ非保存場によって引き起こされる可能性のある通常とは異なった変化が見られないか探したのです。
研究によると、今までの実験で集められた中で最も高いエネルギーの物を含んだデータの中にも、そのような変化は見られませんでした。もし、ローレンツ非保存があるとすれば、非常に高いエネルギー下にある物体に明白な効果が見られると科学者たちは考えていたのです。
「私たちはローレンツ非保存が逸脱を起こすかどうかを見ようとしましたが、見ることはできませんでした」とコンラッド教授は言います。
「これによって、高エネルギーニュートリノにおけるローレンツ非保存の可能性は今後長期に渡って閉じられることになります」
via: Daily mail/ translated & text by SENPAI
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