画像
Credit: 東京大学(2024)
psychology

2体の「しめじ」が近づいて抱き合うと感情豊かに見える【東京大学】

2024.08.24 Saturday

大きな木が身をくねらせて踊っているように見えたり、隣り合う石が互いに寄り添っているように見えたり…

日常の中で、ヒトではない物体が何か感情を持っているように見えることがあるでしょう。

この現象を研究者らは「感情の読み込み」と呼んでいます。

東京大学は今回、ヒトではない物体が感情を持っているように見えるには、どのような条件が重要かを調査。

しめじを使ったユニークな実験の結果、2体のしめじに「近づく」「離れる」といった社会的な動きを与えると、見る者はそこに感情を強く読み込みやすくなることが判明しました。

かなり風変わりな研究ですが、一体何の役に立つのでしょうか?

研究の詳細は2024年8月13日付で科学雑誌『Computers in Human Behavior』に掲載されています。

【研究成果】2体のしめじが近づくと感情豊かにみえる ――外見があまりヒトらしくない対象でも動きが加わると、 見る者は強く”感情”を読み込む―― https://www.c.u-tokyo.ac.jp/info/news/topics/20240813190000.html
Influence of appearance and motion interaction on emotional state attribution to objects: The example of hugging shimeji mushrooms https://doi.org/10.1016/j.chb.2024.108383

ヒトっぽく見えるには何が重要なのか?

ヒトではない物体が感情を持っているように見える現象は、色々な分野で長い間研究されてきました。

例えば、アニマシー知覚(生物でない対象に生き物らしさを感じる知覚のこと)を研究する分野では、「感情の読み込み」を引き起こす要因として、その対象物の動きが検討されてきました。

動き方が人間っぽかったら、無生物でも感情を持っているように見えるというわけです。

踊っているように見える?
踊っているように見える? / Credit: canva

一方で、ヒューマン・エージェント・インタラクション(※)の分野では、対象物にヒトらしい形状が備わっていることで、感情を読み込みやすくなると主張されてきました。

(※ HAIは、ヒトとエージェント[ロボットコンピューター、バーチャルキャラクターなど]の相互作用を研究する分野)

どちらも無生物から感情を感じる上では重要なファクター(要因)と考えられていますが、「動き」と「ヒトらしい形状」の影響はそれぞれ別個に研究されてきたのです。

そのため「動き」と「ヒトらしい形状」の2つのファクターを同時に考慮した研究はこれまでありませんでした。

そこで東京大学の研究チームは今回、「形状のヒトらしさ」のレベルが異なる3つの対象物について、「動き」がある場合とない場合で被験者がどのように感じるかを検証することにしました。

人型・しめじ・マッチ棒の3つを用意
人型・しめじ・マッチ棒の3つを用意 / Credit: Taku Imaizumi et al., Computers in Human Behavior(2024)

3つの対象物は、こちらの図で示されたように「人型・しめじ・マッチ」の3つを選んでいます。

特に真ん中のしめじについては、X(旧Twitter)で話題になった「添い寝しめじ」を参考にして作成したとのことです。

では、実際の実験模様を見てみましょう。

次ページ2体のしめじが近づくと感情豊かに見える

<

1

2

>

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

Amazonお買い得品ランキング

心理学のニュースpsychology news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!