ブラックホール観測のシミュレーション画像を公開!
しかし周波数345GHzの電波を捉えるには、技術的に困難な側面もありました。
というのも345GHzの電波は大気中の水蒸気による吸収が以前までの230GHzの電波よりも強く、地上からの観測を困難にするからです。
そこでチームはEHT装置の帯域幅を増加させ(簡単に言えば、通信速度を速めること)、さらに地上の全観測地点での好天を待つことで、この難点を解決しました。
その結果、345GHzの周波数で遠方銀河の中心からの電波信号を検出することに成功し、地上から観測されたものとしては過去最高の解像度を達成できたとのことです。
今回は何らかの対象を観測したわけではないので、具体的な画像はありません。
しかし研究者らは、もし345GHzの周波数でブラックホールを撮影した場合のシミュレーション画像を作成しています。
こちらの左が従来の230GHzで撮影されたブラックホールで、右が345GHzで撮影したブラックホールです。
ぼやけの範囲が少なくなり、鮮明度が高くなっていることがわかります。
チームによると、この解像度は月面上にあるペットボトルのキャップを地上から鮮明に観測できるほどの精度であり、ブラックホールでいうと、これまでの画像より最大50%も解像度を高められるといいます。
また同チームのシェパード・ドールマン(Sheperd Doeleman)氏は今回の観測技術の進歩について「白黒写真からカラー写真に変わったようなものだ」と評しました。
この飛躍的な進歩により、ブラックホールについて今までに予想されていたけれど目に見えていなかった構造、それから予想されていなかった構造までもが見つかるようになるかもしれないと述べています。
こちらは3種類の周波数ごとに撮影したブラックホールを組み合わせたシミュレーション画像です。
チームは今後もさらなる改良を重ねて、EHTの観測技術を高めていきたいと話しています。
またブラックホールをより詳細に観測した暁には、そのデータを元にしてブラックホール周辺の動きを忠実に再現した動画の作成も目指しているとのことです。
EHTの進化により、宇宙に対する人類の視野が大きく開けてくるかもしれません。
「月面上にあるペットボトルのキャップを地上から鮮明に観測できるほどの精度」さらっと書かれてますが、ものすごい解像度ですよね。
全然関係ないですが、このぐらいの精度のGoogleマップがあったらいろいろと面白そう。