抗がん剤にアルツハイマー病で「失われた記憶」を蘇らせる効果を発見!
抗がん剤にアルツハイマー病で「失われた記憶」を蘇らせる効果を発見! / Credit:Canva . 川勝康弘
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抗がん剤にアルツハイマー病で「失われた記憶」を蘇らせる効果を発見!

2024.08.30 Friday

アメリカのスタンフォード大学(Stanford)で行われた研究によって、開発中の抗がん剤「IDO1阻害薬」にはアルツハイマー病で失われたマウスの記憶を回復させる効果が示されました。

アルツハイマー病になると脳細胞の働きが鈍るだけでなく、逆にいくつかの化学反応(代謝)が過剰になることが知られています。

このような過剰な代謝はニューロンが栄養素を適切に利用するのを妨げ、脳回路の維持に支障をきたしてしまいます。

新たに開発中の抗がん剤「IDO1阻害薬」には過剰になった代謝反応を正常化させる効果があり、実験でもマウスの記憶が回復したとのこと。

研究者たちは同様の仕組みが人間でも有効に機能する可能性があると述べています。

研究内容の詳細は2024年8月23日に『Science』にて掲載されました。

Blocking a Brain Pathway Reverses Memory Loss in Alzheimer’s https://neurosciencenews.com/kyrurenine-pathway-alzheimers-memory-27579/
Restoring hippocampal glucose metabolism rescues cognition across Alzheimer’s disease pathologies https://doi.org/10.1126/science.abm6131

アルツハイマー病の脳とがん細胞の意外な類似点

アルツハイマー病になると記憶が失われるのは有名なはなしです。

ただ既存の医学では失われた記憶を回復させるのは極めて困難だと考えられています。

ただアルツハイマー病の患者がふとしたキッカケで昔の話を語りだしたり、歌を歌い出したりするという現象も確認されており、アルツハイマー病患者では記憶そのものが消滅しているのではなく、記憶を取り出せなくなっている可能性があります。

そこで近年では、取り出せなくなっている記憶を復活させるための薬の開発が勢いづいています。

今回は研究の概要をまず簡単な1コママンガで理解してもらいたいと思います。

もし興味が出ましたら、続く本文も読んでみてください。

抗がん剤にアルツハイマー病で「失われた記憶」を蘇らせる効果を発見!
抗がん剤にアルツハイマー病で「失われた記憶」を蘇らせる効果を発見! / Credit:clip studio . 川勝康弘

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