マメはトウモロコシの悲鳴を聞いている
研究チームは、実験室で収集したトウモロコシの揮発性物質をマメに与えると、マメが自分の防御を増強することを発見しました。
この反応は、実験室だけでなく、実際の畑でも同様でした。
具体的には、トウモロコシの揮発性物質を感知したマメが、自分の「花外蜜腺」の働きを増大させると分かりました。
花外蜜腺とは、花以外にある甘い蜜を出す腺のことで、この蜜でアリなどを誘引し、他の昆虫による食害を防ぐ役割を持っています。
マメの場合は、葉の下に小さな花外蜜腺を持っており、これで自分を守る兵士(アリやスズメバチ)を引き寄せることができます。
そして、トウモロコシの揮発性物質を感知したマメは、通常よりも蜜の量と糖分濃度を増すことで、一層多くの兵士を引き寄せます。
しかも引き寄せられたアリやスズメバチは、マメだけでなくトウモロコシを襲う害虫を食べることで、両方を守ります。
ちなみに、マメの花外蜜腺は、トウモロコシの悲鳴で引き寄せられる「寄生バチ」にも良い影響を及ぼすことも分かっています。
栄養豊富な蜜を食べた寄生バチは、通常の2倍近く長生きし、より多くの害虫たちを駆除していたのです。
今回の実験では、トウモロコシの悲鳴を聞いたマメが、いつも以上に多くの兵士を雇い、自分とトウモロコシを守らせると分かりました。
これが伝統農法「ミルパ」のメリットの1つであることを考えると、この農法の奥深さは計り知れません。
研究チームは、全ての植物の組み合わせが、同じようなメリットを産むわけでもないことも指摘しており、植物と昆虫にはまだまだ複雑な関係が隠されているようです。
そして彼らは、こうした謎の解明が「化学農薬の使用削減に役立つかもしれない」と述べています。
カボチャさんは豆さんとトウモロコシさんの会話には参加しないの?