使う言語で「世界の見え方」は変わるのか?
「言語が世界の見え方を形作る」という考えは、何十年も前から研究者たちによって議論されてきました。
有名な仮説に「サピア=ウォーフ仮説」があります。
これは「使う言語が変わると、物の見方や概念のあり方も変化する」という考え方です。
つまり、日本人である私たちは「日本語」という枠組みを通して身の周りの出来事を認識し、物を考えているので、日本人は日本語に根ざした知覚や思考をしていることになります。
研究チームは以前からこのトピックに関心を向けており、最新の研究で「使っている言語が変わると本当に世界の見え方も変わるのか」を検証することにしました。
調査対象としたのは、リトアニア語とノルウェー語の両方を話すバイリンガルです。
特にここでは「青色」の表現に注目しました。
ノルウェー語で「青色」を示す言葉は「ブロー(blå)」という1語だけだといいます。薄い青色も濃い青色もブローです。
一方で、リトアニア語で「青色」を示す言葉には「メリナ(mėlyna)」と「ジードラ(žydra)」があります。
メリナは濃淡の強い紺色のような青を指し、ジードラは薄くて明るい空色のような青を指す言葉です。
研究主任のアクヴィレ・シンケヴィシウテ(Akvile Sinkeviciute)氏は「 これは興味深い言語的な違いを示しており、視覚認識における色の区別の仕方にも影響を与える可能性がある」と指摘します。
そこでチームは、リトアニア語とノルウェー語のバイリンガルが使う言語を切り替えたときに、青色の濃淡の感じ方がどう変わるかを実験で調べてみました。