2024年のイグノーベル賞で打線を組んでみました
医学賞:副作用が苦痛なプラセボのほうが高い効果がある
「良薬は口に苦し」ということわざについて、一度は疑問に思ったはずです。
良薬、つまり薬の効き目がいいことと苦さのレベルには論理的な結びつきがないからです。
しかし受賞研究では、苦痛を伴う副作用を引き起こすように設計されたプラセボは副作用がないプラセボに比べて効果的であることが示されました。
実験にあたってはまず、熱によって痛みを与える装置が用意されました。
次に被験者たちに痛み止め成分が入った点鼻薬を服用してもらい、痛みがどの程度緩和されたかが調べられました。
しかし実際に使われた点鼻薬には痛み止め成分など入っておらず、唐辛子の辛味成分であるカプサイシンを含んだ点鼻薬と生理食塩水を含んだ2点鼻薬が使用されました。
すると被験者たちは、カプサイシン入りの点鼻薬のほうが、優れた痛み止め薬であったと評価しました。
「良薬は口に苦し」を「良薬は鼻に辛し」に置きえた新しいプラセボ研究だと言えるでしょう。
カプサイシン入りの点鼻薬による痛みと実験装置による痛みをダブルで経験することになった被験者たちは気の毒ですが、彼らの献身によって人類の医学はまた一歩前進したようです。