朝に運動が計画されると前夜の食事が増える?
一晩絶食状態で運動をするということは、基本的には朝起きたばかりの、寝起きに近い状態で体を動かすことになります。
この状態は体温が低く、頭も体も十分に覚醒していないため、運動がきつく感じやすくなります。
その結果、日中に運動を行うのと比べて、運動量や強度が下がってしまいがちです。
実際、体内に糖質(グリコーゲン)が少ない状態では、運動能力が低下しているので、実験のように所定の運動を行うことを強く指示された場合は別としても、日常的に行う場合では、日中に行うのと同じ負荷をこなすのが難しくなるでしょう。
これでは、消費カロリーを増やすというダイエット目的にはマイナスになります。
さらに、興味深い事実として、2021年にイギリスのラフバラー大学(Loughborough University)の研究グループが発表した論文によると、朝食前に運動が計画された場合、前日の摂取カロリーが増えることが明らかになっています。
具体的には、運動が計画されていない場合と比べて、前日の朝食と昼食の摂取カロリーには差がなかったものの、夕食の摂取カロリーが約13%増えていました。
もしかしたら、潜在的に朝の運動はキツいから、エネルギーを蓄えておこうと意識したのかも知れません。
この研究は、1回の運動前の食事に焦点を当てたものですが、研究グループは、有酸素運動を行っている人々が運動のタイミングによって摂取カロリーが増えてしまう可能性があると指摘しています。
仮に、そのようなことが起こる場合、有酸素運動によって消費カロリーが増えたとしても、狙い通りのダイエット効果を得るのが難しくなるでしょう。
もちろん、世の中には一晩絶食状態での朝の有酸素運動を習慣化できている人や、仕事や家族の都合で早朝にしか運動できない人もいます。
そうした方々は、無理のない範囲で朝の運動を続けることに焦点を当てるべきでしょう。
しかし、朝起きるのがつらかったり、朝の運動が苦手で結局すぐにやめたりしてしまう人は、運動中の脂肪燃焼が高い朝にこだわる必要はありません。
たとえ運動中に脂肪の燃焼量が少なくなったとしても、無理のない日中や夕方に運動をすることで、1日を通した摂取カロリーと消費カロリーの差を作ることができます。
結局のところ、朝にこだわるのではなく、自分に合った時間帯に運動を取り入れた方がダイエットを成功させる確率が高まるでしょう。