アリvs人間!荷物をうまく運べるのはどっち?
アリはその高度な社会性と協調性により、地球上で最も繁栄している種の一つとなっています。
香港大学の研究では、地球上に生息するアリの総数は2京匹(1京は1兆の1万倍)に達するとの分析結果が示されました(PNAS, 2022)。
また炭素に換算した場合、アリの総重量は1200万トンになり、これは野生の哺乳類と鳥類の合計を超え、人類の約20%に相当する重さなのです。
それくらいアリは地球上で成功している種ですが、研究チームは今回、アリと人間ではどちらが集団行動の効率性に長けているのかを検証しようと考えました。
アリも人間も、自分たちより遥かに大きな荷物を仲間と協力して運搬できる数少ない生き物です。
特に少数で協力できる生物は他にいるものの、アリや人間のように大人数で協力できる生物は他にいません。
そこでチームは次のような迷路課題を用意しました。
ここでは1つの空間を仕切りによって3つのスペースに分割し、真ん中に細い通路を開けておきます。
そして一番左のスペースからT字型の大きな荷物を一番右のスペースまで運搬するという課題です。
細い通路の間を抜けるには、T字型の荷物の角度を微妙に調節したり、回転させなければなりません。
皆さんもおそらく、ソファや大きな机を移動させる際に同じ課題をやった経験があると思います。
実験ではアリチームと人間チームにまったく同じ課題に挑戦してもらい、のちにその動きを分析して、どちらが効率的に荷物を運搬できたかを調べました。
すると面白い結果が出たのです。