インポスター症候群になりやすい性格特性とは?
これまでの研究で、インポスター症候群になりやすい人にも、いくつかの共通する点が見られています。
特によく見られるのは「完璧主義」です。
完璧主義の人は、何事も自分の100%納得するものでなければ満足できず、少しのミスや不完全な部分があると、過度に自分が能力不足だと感じてしまいます。
100%納得できることはほとんどないため、自分に自信がなくなったり、不当に自己評価が低くなりやすいのです。
また「他人の評価を気にする傾向」も大きく関わっていました。
こうした人は周囲の声や評価に敏感であり、他人に失望されたり嫉妬を買うことを恐れる傾向があります。
そして他人の評価を気にするあまり、自分の成功に対して「運がよかっただけです」と過剰に謙遜したり、「自分は凄くないんだ」と自己を過小評価することにつながるのです。
それからインポスター症候群が強い人には「自分は目立ってはいけない」とか「成長してはいけない」という心理が無意識的に働いていることも示されました。
実はインポスター症候群になりやすい人がこうした心理的背景を持つに至った原因があることが、過去の研究から示唆されています。
それは例えば、幼少期から自分の成功や能力に対して周囲から妬まれたり、それによってイジメや仲間外れにされたり、あるいは失敗したときに親や先生から叱られたり、友達にからかわれた経験があることです。
また家庭の教育で、個人が目立つよりも周りとの調和を大事にするようしつけられたりした経験も大きく関わっています。
このような一種トラウマに近い経験から「自分は目立ってはいけない」とか「成長すれば、また周囲から妬まれる」といった意識が増長し、何をするにも他人の目を気にするようになって、インポスター症候群を起こしやすい性格特性に繋がっていると考えられるのです。
要するに、インポスター症候群とは、出る杭を自分自身で打つ(=自己評価を不当に低くする)ことで、周囲と足並みを揃えながら目立たないようにし、過去に受けてきた心理的苦痛やストレスが再び生じないようにする心理反応とも言えるでしょう。
しかし皮肉にも、自分を守るための心理反応は返って自己肯定感を低下させ、別の心理的ストレスや不安を引き起こしてしまうのです。
では、インポスター症候群を管理し、上手に付き合っていくにはどうすれば良いのでしょうか?