御家人株を買えば武士になることができた
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江戸時代は御家人株を購入することで武士になることができましたが、そもそも御家人株とは一体何でしょうか。
御家人株とは金銭取引の対象となっている御家人の家格です。
名目上は養子縁組を結び、養父が隠居して家督を譲る形式を取りました。
例えば、同心(下級役人、事務やパトロールの仕事を行った)は200両(現在の価値で2000万円、1両=10万円で換算)、徒士(かち、中間管理職な仕事や城の護衛の仕事を行った)は500両(現在の価値で5000万円)、与力(同心の上司として行政や司法、警備の仕事を行った)が1000両(現在の価値で1億円)、という相場があったとのこと。
この「身分の市場」が、果たしてどれほどの人々の夢を叶えたのか、あるいはどれほどの失望を生んだのか想像するだけで興味深いです。
身分制社会において流動性はないと思われがちですが、この「武士株」の存在はその固定観念に一石を投じます。
当時の社会は、実のところ意外にも柔軟であったこと。
そして何より、武士というものが、いつの間にか名誉や責務を超えた「商品」に成り下がっていたこと。
こうして江戸の町では、身分と金が交錯する、不思議な光景が広がっていたのです。