歌川広重筆「東海道五十三次之内日本橋」、庶民でも大金を払えば武士になることができた
歌川広重筆「東海道五十三次之内日本橋」、庶民でも大金を払えば武士になることができた / credit:Wikimedia Commons
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200両で憧れの武士に!身分社会の江戸時代に横行した武士の身分売買 (3/4)

2025.02.09 12:00:33 Sunday

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非公開売買でトラブルも多かった武士身分の売買

記事で取り上げている例のように、御家人株の売買でトラブルが起こることも多かった
記事で取り上げている例のように、御家人株の売買でトラブルが起こることも多かった / credit:いらすとや

それではどのような流れで武士身分の販売が行われていたのでしょうか?

このような売買は表向き禁止されていたということもあり、クローズドな形で行われていました。

例えばある御家人の家来はひょんなことから38両(現在の価値で380万円)もの大金を拾い、落とし主が現れなかったこともあってそのまま38両を手にすることになりました。

この家来は主人からの信頼が厚かったこともあり、主人の計らいによってこの拾得金を元手に念願の同心株を手に入れることに成功したのです。

このように御家人株を購入するためには武士にコネや伝手が必要であり、それゆえ先述したように御家人株の購入者は武士の関係者が多かったのでした。

一方で御家人株の売買はトラブルも多かったです。

例えばある御家人は優秀な家来に御家人株を買い与え武士にしていたものの、払う予定となっている金額を巡ってトラブルになり、さらにその御家人はトラブルを解消する前に亡くなってしまいました。

これにより不足分の金額の請求は元家来に来たものの、元家来は支払いを拒否し、遂には殺害されてしまいます。

御家人株の金銭トラブルが殺害事件に発展し、当時の売買制度の不透明さと危うさを如実に物語っているのです。

このようなエピソードの背後には、金銭と社会的地位が密接に絡む江戸社会の現実が見えます。

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