歌川広重筆「東海道五十三次之内日本橋」、庶民でも大金を払えば武士になることができた
歌川広重筆「東海道五十三次之内日本橋」、庶民でも大金を払えば武士になることができた / credit:Wikimedia Commons
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200両で憧れの武士に!身分社会の江戸時代に横行した武士の身分売買 (4/4)

2025.02.09 12:00:33 Sunday

前ページ非公開売買でトラブルも多かった武士身分の売買

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御家人株を売った元武士は町人になった

御家人株を売った元武士は町人として生きていった
御家人株を売った元武士は町人として生きていった / credit:いらすとや

それでは御家人株を売った元武士はどのような生活を送っていたのでしょうか?

先述したように御家人株には非常に高い価値があるということもあり、元武士は御家人株を売ったことにより多くの金銭を手に入れることができました。

例えばある怠け者の御家人は、あまりにも仕事がしたくないという理由で御家人株を売却し、自らは隠居としてぶらぶらして生活していたのです。

またある武士は放蕩で身を持ち崩して御家人株を売り、とび職人へと身を転じました

さらに、特殊なケースとして、遊女と恋に落ちた武士が、御家人株を売り払い町人となって夫婦となった例があります。

しかし、町人として裏長屋に住まいを構えたその生活は貧窮と隣り合わせであり、妻の両親が同居を頼み込むや否や、生活は坂を転げ落ちるように困窮していったのです。

そして、遂には妻の浮気を疑い、せっかく身分を捨ててまで結婚した妻を惨殺するという悲劇を引き起こしました。

江戸の裏路地には、このようなかつての御家人たちの影が幾重にも重なっています。

それはまるで、時代の波に飲み込まれながらも自らの居場所を模索する、人間の業のように感じられるのです。

華やかなる大名行列の光景とは裏腹に、こうした影の物語が江戸という街の豊かな深みを作り上げているのかもしれません。

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