昼寝は問題解決能力を高めてくれるか?
私たちは日常生活の中で、さまざまな問題に直面します。
「どうしてもうまくいかない仕事のアイデア」や「解決策が思いつかない数学の問題」など、考えれば考えるほど答えが遠ざかることはありませんか?
このような状況は「類推的転移(analogical transfer)」と呼ばれるプロセスがうまく機能していないことが原因と考えられています。
類推的転移とは、簡単にいえば、今解いている問題のうちに過去に解いた問題や学んだ知識、経験との類似性を見出し、それを新しい問題に応用する能力のことです。
しかし多くの人は目の前の問題の「表面的な違い」にばかり注意が向くため、「根本的な類似性」を見逃してしまいます。
例えば、ある過去の経験が現在の問題と同じ構造を持っていたとしても、その類似性に気づかなければ役に立ちません。
この問題を解決する方法として、これまでの研究では「睡眠」が重要な役割を果たすことが示唆されてきました。
特にレム睡眠(REM:急速眼球運動)中に脳が記憶を整理し、異なる情報を結びつけることで創造的な思考が促進される可能性が指摘されています。
しかし、これまでの研究の多くは一晩の睡眠に焦点を当てたものであり、「短時間の昼寝」が問題解決に与える影響については十分に検証されていませんでした。
そこで研究チームは「昼寝が類推転移を向上させるのか?」という疑問を解明するための実験を行いました。