画像
「デザートは別腹」脳が発見される / Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部
brain

「デザートは別腹」の脳メカニズムを発見!満腹でも甘いものが欲しくなる理由とは!?

2025.02.20 18:00:22 Thursday

「お腹いっぱい」と感じていたのに、デザートは別腹で食べられる——そんな経験は誰にでもあるはず。

これは単なる感覚的なものと思われてきましたが、最新の研究により「脳が甘いものを受け入れる仕組み」を持っていることが判明しました。

この研究を発表したのは、ドイツのマックス・プランク研究所(Max Planck Institute)の研究チーム。

彼らはマウスを使った実験により、「満腹時にデザートを欲しがる神経回路」が脳内に存在することを明らかにしました。

この発見は、甘いものを食べすぎてしまう理由の解明にもつながり、肥満や糖尿病の予防にも役立つかもしれません。

この研究の詳細は、2025年2月13日付の科学誌『Science』に掲載されました。

Dessert stomach emerges in the brain https://www.mpg.de/24159607/0211-neur-dessert-stomach-emerges-in-the-brain-153735-x “Dessert stomach” finally found in the brain https://newatlas.com/biology/dessert-stomach-brain-sugar/
Thalamic opioids from POMC satiety neurons switch on sugar appetite https://doi.org/10.1126/science.adp1510

「デザートは別腹」の正体を、マウスの脳内メカニズムから解明

食後に満腹を感じるのは、胃が膨らむことで神経がに「もう食べなくていい」と指示を出すためです。

また、視床下部のPOMCニューロンは食欲を抑える役割を持ち、食事後に活性化して、食べ過ぎないようにします。

しかし、甘いものを見ると「別腹」が作動し、再び食欲がわくことがあります。

これは単なる気のせいではなく、脳の仕組みとして組み込まれている可能性があります。

画像
「デザートは別腹」なのはなぜ? / Credit:Canva

研究者たちは、この謎を解明するために、「満腹状態でもデザートを受け入れるメカニズム」が脳内に存在するのかを調査しました。

彼らは、満腹状態のマウス に対して通常の食事と甘い食べ物(砂糖)を与え、脳の活動を観察しました。

その結果、視床下部のPOMCニューロンが活性化し、βエンドルフィンが分泌されることが判明しました。

POMCニューロンは通常、食後に食欲を抑える働きをしますが、全てのPOMCニューロンが同じように働くわけではなかったのです。

一部のPOMCニューロンは、甘いものを摂取すると脳内麻薬の一種である「β-エンドルフィン」を放出。これにより快感や報酬を感じる仕組みが作動します。

そしてβ-エンドルフィンが活性化したマウスは、より積極的に甘いものを求める行動を示しました。

満腹にも関わらず砂糖のある場所へ何度も足を運び、通常の食事よりも甘いものを優先する傾向が見られたのです。

興味深いことに、このメカニズムは、マウスが砂糖を食べる前でも、それを認識した時点で既に活性化されていました。

また、これまで砂糖を食べたことがないマウスでも脳内麻薬が放出されており、その効果は、実際に砂糖を口にすることでさらに強化されました。

そして研究チームが、この神経経路を遮断すると、マウスはそれ以上砂糖を食べなくなりました。

では、人間ではどうでしょうか。

次ページ人間にもマウスと同様の「デザートは別腹」メカニズムを確認!ダイエットに役立つか

<

1

2

>

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

Amazonお買い得品ランキング

スマホ用品

脳科学のニュースbrain news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!