ヒョウモンダコが「恋人に毒を盛る」行動を確認
ヒョウモンダコ(学名:Hapalochlaena fasciata)は、猛毒を持つ小型のタコとして知られています。
その毒は「テトロドトキシン(TTX)」と呼ばれ、フグの毒と同じく神経を麻痺させる強力な作用を持っており、人間の死亡例も確認されているほどです。
通常、この毒は獲物を捕らえたり捕食者から身を守るために使われます。
しかし興味深いことに、今回の研究ではヒョウモンダコのオスが同種の、それも交尾相手のメスに毒を盛ることが判明したのです。

クイーンズランド大学の研究チームは、研究室内でヒョウモンダコの交尾行動を詳細に観察しました。
その結果、オスが交尾の初期段階でメスの大動脈付近を噛み、そこからTTXを注入することが確認されたのです。
ヒョウモンダコのメスは毒への耐性があるため、他の生物のように死ぬことはありませんでしたが、それでも無害ではいられません。
毒を注入されたメスは麻痺して、次第に呼吸が遅くなり、やがてほぼ1時間にわたる窒息状態に陥りました。
そしてメスがまともに動けなくなったその隙に、オスは精莢(せいきょう:精子の入ったカプセル)をメスの生殖管へと送り込んでいたのです。
しかし麻痺が解けると、メスは再び動き始め、それと同時にオスもメスから離れていきました。
では、なぜヒョウモンダコのオスは交尾相手に毒を盛るなんてことをしたのでしょうか?