「角膜の損傷」の常識を覆す新しい治療法
角膜とは、目の最も外側にある透明な層です。
この角膜が一定以上のダメージを受けると、その回復は非常に難しくなります。
化学熱傷や外傷などが原因で、角膜に存在する幹細胞の能力を超えてダメージを負うなら、幹細胞が枯渇して再生できなくなるからです。

そうなってしまうと通常の治療では改善が難しく、視力障害が進行してしまいます。
深刻な角膜の損傷は回復不可能で、失明に至るのです。
そこで登場したのが「CALEC(Cultivated Autologous Limbal Epithelial Cell)」という新しい技術です。
この治療法では、まず患者自身の健康な眼から幹細胞を採取します。
その後、研究室で数週間培養し、細胞を増殖。
この細胞を損傷した角膜に移植することで再生を促すのです。

つまり、CALECは「自分の体の細胞を増やして、元に戻す自己修復技術」のようなものです。
この技術の最大の特徴は、完全に自家細胞のみを使用するため拒絶反応が少ないことです。
また、抗生物質や動物由来の成分を使わないクリーンな培養環境で製造されているため、安全性が高いとされています。
これにより、安全かつ効果的に視力の回復が期待されます。
では、この新しい治療は、どれほどの成果を上げたのでしょうか。