バイカル湖は「生物の楽園」にもなっている
バイカル湖が特別なのは、その古さだけではありません。
ここは地球上で最も生物多様性に富む湖であり、多くの固有種が生息しています。
その代表的な例が「バイカルアザラシ(学名:Pusa sibirica)」です。
これは世界で唯一の淡水のみに生息するアザラシであり、ほかのどの湖にも存在しません。

また、バイカル湖には数百種類の淡水エビが生息しています。
加えて、ミネソタ科学博物館の研究者マーク・エドランド(Mark Edlund)氏は、バイカル湖に生息する珪藻(diatoms)にも注目しています。
通常の珪藻は直径10〜50ミクロンですが、バイカル湖の珪藻は50〜150ミクロンと異常に大きく、進化の過程で独特の適応を遂げたと考えられているのです。
このような生物学的特徴から、バイカル湖は進化と生態系の研究にとって非常に貴重な場所とされています。
バイカル湖は2500万年もの長い歴史を持つ地球上で最も古い湖であると同時に、最も深く、そして最も生物多様性に富んだ湖でもあるのです。