ニッケル・カドミウム蓄電池とリチウムイオンバッテリーの違い
バッテリーには、電気を化学的に貯めて放出するという基本的なメカニズムがあります。
充電をすると、バッテリー内で化学反応が起こり、エネルギーが蓄えられます。
そして、電気を使うときには、その化学エネルギーが再び電気エネルギーに変わり、機器を動かします。
この仕組み自体は、ニカド電池(ニッケル・カドミウム蓄電池)もリチウムイオンバッテリーも同じです。
ただし、電池内でエネルギーを貯める「方法」や「管理」が異なります。
バッテリーは化学反応によって電気エネルギーの貯蔵と放出を行いますが、ニカド電池の場合、化学反応を完全に終えない中途半端な放電状態で再度充電を行うと、カドミウム側が結晶化してしまいます。
結晶が成長すると、バッテリー内で電気を効率よく貯めるためのスペースが奪われることになります。
これにより、バッテリーを途中で充電し続けると、その「途中の状態」を「満充電の状態」としてバッテリーが覚えてしまったかのように、次に使用できる容量が減ってしまうのです。
そのためこの現象を「メモリー効果」と呼び、ニカド電池では電気容量を使い切らずに再充電する行為は避けるように、使用上の注意として周知されていたのです。

しかし、リチウムイオンバッテリーでは、メモリー効果はほとんど発生しません。
リチウムイオンバッテリーは、化学的に安定した設計がされており、結晶化などの問題でバッテリーの寿命に大きな影響を与えることはありません。
むしろ、リチウムイオンバッテリーは完全放電(ゼロまで使い切る)により電圧が非常に低い状態にすることが、内部の化学反応を不安定化させる要因となります。
このため、使い切ってから充電するという旧来の習慣は、逆にバッテリーの寿命に悪影響を与えてしまうのです。
ではリチウムイオンバッテリーの理想的な使い方は、どういうものになるのでしょうか?