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「バッテリーは使い切って充電してはダメ!」年配の人ほど勘違いしている技術の常識

2025.03.22 17:00:00 Saturday

「バッテリーは使い切ってから充電した方がいい」と勘違いしている人は意外と多いかもしれません。

この誤解の原因は、かつて広く使われていたニッケル・カドミウム蓄電池(通称:ニカド電池)に存在した「メモリー効果」に由来しています。

ニカド電池では使い切らずに充電を繰り返すと、バッテリーの容量が徐々に減ってしまう特性があったのです。

そのため年配の人ほど、この勘違いをしたまま誤った方法で充電をしてしている可能性があります。

しかし、現代のリチウムイオンバッテリーには、この常識は当てはまらず、逆にバッテリーの寿命を減らすことに繋がってしまいます。

最近のモバイル機器は、バッテリー交換は基本できない設計になっており、バッテリーがヘタったら機器ごと買い替えてもらうという設計をしています。

そのため、1つの機器をなるべく長く使いたいと考える人は、バッテリーを長持ちさせる正しい使い方を理解しておく必要があります

今回は、どうしてリチウムイオンバッテリーは使い方が昔と違うのか? どういう使い方がバッテリーの寿命を伸ばすのか?

その理由を説明して、長持ちするバッテリーの使い方について解説します。

How to Prolong Lithium-based Batteries https://batteryuniversity.com/article/bu-808-how-to-prolong-lithium-based-batteries
A method to prolong lithium-ion battery life during the full life cycle https://doi.org/10.1016/j.xcrp.2023.101464

ニッケル・カドミウム蓄電池とリチウムイオンバッテリーの違い

バッテリーには、電気を化学的に貯めて放出するという基本的なメカニズムがあります。

充電をすると、バッテリー内で化学反応が起こり、エネルギーが蓄えられます。

そして、電気を使うときには、その化学エネルギーが再び電気エネルギーに変わり、機器を動かします。

この仕組み自体は、ニカド電池(ニッケル・カドミウム蓄電池)もリチウムイオンバッテリーも同じです。

ただし、電池内でエネルギーを貯める「方法」や「管理」が異なります。

バッテリーは化学反応によって電気エネルギーの貯蔵と放出を行いますが、ニカド電池の場合、化学反応を完全に終えない中途半端な放電状態で再度充電を行うと、カドミウム側が結晶化してしまいます。

結晶が成長すると、バッテリー内で電気を効率よく貯めるためのスペースが奪われることになります。

これにより、バッテリーを途中で充電し続けると、その「途中の状態」を「満充電の状態」としてバッテリーが覚えてしまったかのように、次に使用できる容量が減ってしまうのです。

そのためこの現象を「メモリー効果」と呼び、ニカド電池では電気容量を使い切らずに再充電する行為は避けるように、使用上の注意として周知されていたのです。

ニカド電池/Credit:Wikimedia Commons

しかし、リチウムイオンバッテリーでは、メモリー効果はほとんど発生しません。

リチウムイオンバッテリーは、化学的に安定した設計がされており、結晶化などの問題でバッテリーの寿命に大きな影響を与えることはありません。

むしろ、リチウムイオンバッテリーは完全放電(ゼロまで使い切る)により電圧が非常に低い状態にすることが、内部の化学反応を不安定化させる要因となります

このため、使い切ってから充電するという旧来の習慣は、逆にバッテリーの寿命に悪影響を与えてしまうのです。

ではリチウムイオンバッテリーの理想的な使い方は、どういうものになるのでしょうか?

次ページバッテリーを長持ちさせるための正しい使い方

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