海王星のオーロラは地球とは違う?
オーロラと聞くと、地球の北極や南極で見られる幻想的な光のカーテンのよう光景がすぐに思い浮かべられます。
これは太陽から飛んできた高エネルギー粒子が地球の磁場に捉えられ、大気の上層にぶつかって発光することで生じる現象です。
実は地球だけでなく、木星や土星、天王星といった巨大ガス惑星でもオーロラは確認されてきました。
しかし、太陽系の最果てにある海王星だけは、長年オーロラが確認されず、謎とされていたのです。

1989年にNASAのボイジャー2号が海王星をフライバイした際に、オーロラらしき兆候は見られたものの、確証には至りませんでした。
原因の一つは、海王星の磁場が非常に複雑で、自転軸に対して47度も傾いていることにあります。
このため、海王星のオーロラは地球のように極圏には現れません。
極ではなく中緯度、地球でいえば南米あたりに現れるのです。
さらにオーロラ観測のカギとなる「三水素カチオン(H3+)」という分子イオンも、木星や土星では簡単に観測できるのに、なぜか海王星ではこれまで30年以上見つからず、天文学者たちを悩ませてきました。
その背景には、上空の大気温度の急激な変化や、観測技術の限界があったのです。