父親の育児行動が「けがの予防」につながる可能性

分析の結果、全体における子どもの外傷(骨折を含む)の発生率は5.0%、熱傷(やけど)は4.0%でした。
注目すべきは、父親の育児行動スコアが高いグループでは、子どもの外傷の発生率が有意に低かったという点です。
具体的には、「高群」での外傷率は4.8%、「中群」では4.9%、そして「低群」では5.3%でした。
父親の育児関与が高いほど、けがの発生が抑えられる傾向にあると分かります。
さらに、育児行動の各項目ごとに個別の関連性を検討したところ、「室内遊び」「外遊び」「食事の世話」「入浴」「寝かしつけ」の5項目で、父親が「まったくしない」と答えた場合よりも、「ほとんどしない」「ときどきする」「いつもする」と答えた場合のほうが、子どもの外傷発生リスクが低くなることが示されました。
一方で、熱傷については、父親の育児スコアとの有意な関連性は見られませんでした。
これは、熱傷が主に調理中などに起こることが多く、これらの場面における父親の関与が少ないためと考えられます。

この研究にはいくつかの限界があります。
たとえば、育児行動は母親からの評価によるものであり、実際の行動とのずれがある可能性があります。
また、父親の育児行動は生後6か月時点に限定されており、その後の変化は把握できていません。
それでも今回の結果は、「父親が早期から育児に積極的に関与することが、子どもの外傷リスクを下げる可能性がある」という貴重な知見を提供しています。
父親が子どもの日常行動をよく観察し、未熟な危機察知能力を補う形で関わることが、予防的に働くのかもしれません。
そしてそれは、子どもの安全確保にとどまらず、父子間の信頼関係の構築や父親自身の育児への自信にもつながるでしょう。
子育ては「母親の仕事」と決めつける時代ではありません。
「完璧でなくてもいい」
父親が一歩を踏み出すことが、子どもの未来に温かな影響をもたらす——今回の研究は、そんな希望を私たちに届けてくれました。