卵の代わりに石を温めるハクトウワシ「マーフィー」は、本当の父親になる

ハクトウワシは、「アメリカン・イーグル」の名で知られる美しい猛禽類であり、全長80-110cm、翼を広げると2mにもなる大型のワシです。
その壮麗な姿と力強さから、アメリカの自然界において非常に尊敬されています。
このハクトウワシは一夫一婦制であり、配偶者に対する忠誠心が高く、通常は生涯を共にすることで知られています。
そしてメスは1度に1~2個の卵を産み、大きな巣の中で夫婦で協力しながらヒナを育てます。
卵を温める役目のほとんどはメスが担いますが、夫婦で交互に卵を抱く姿も観察されており、彼らの深い絆を垣間見ることができます。
では、もし片親だけの場合、ハクトウワシはどのような行動を取るのでしょうか。
今回紹介するのは、「マーフィー」という名のオスのハクトウワシです。
右目を失明したマーフィーは、2007年にミズーリ州の野鳥保護施設「World Bird Sanctuary」にて保護されました。
同施設には他のハクトウワシも暮らしているものの、マーフィーは誰かに興味を示すことなく、「独り身」を貫いていました。
そんな時、マーフィーに大きな変化が生じました。

なんとマーフィーが2023年1月になって、突然地面に巣を作り始めたのです。
しかし巣の中に卵は入っておらず、代わり石が入っていました。
ほかの仲間やスタッフたちが見守る中で、マーフィーはその石を温め、慎重に世話をしていました。
彼は巣を離れることはほとんどなく、自分の必要を満たすことを最小限に抑えてまで石に愛情をそそぎ続けたのです。
彼が育てた「卵」への献身は、周囲のスタッフだけでなくネット上で話題になり、世界中の人々を引き付けることになりました。
では、マーフィーの「卵」はどうなったのでしょうか。
もちろん、石からヒナが生まれることはありませんでした。

しかしスタッフたちは、石の代わりに、新しく保護されたハクトウワシのヒナをマーフィーに託すことにしました。
その結果、マーフィーの父親としての愛情は再び燃え上がり、ヒナを甲斐甲斐しく世話するようになりました。
彼はヒナが成長して野生に帰るまでサポートし続けました。
マーフィーは偽物の卵の親から、本物の親になったのです。
その翌年には、マーフィーに2番目のヒナが託され、この子も順調に成長しています。
では現在、マーフィーとヒナはどうしているのでしょうか。