単細胞から多細胞の生物はどのように進化したのか?
私たちが「生物」と聞いて思い浮かべるほとんどは多細胞生物です。
昆虫も鳥も魚も人間も植物も、すべて多細胞でできています。
多細胞生物では、無数の細胞が役割分担し、協力し合いながら生きています。
たとえば、人間の体では、骨を作る細胞、血液を運ぶ細胞、情報を伝える神経細胞など、細胞ごとに担当が分かれています。
これに対して、単細胞生物にはそんな役割分担がありません。
単細胞生物とは、たった1個の細胞だけで生きる生き物を指し、食べるのも動くのも全部ひとりでこなします。

地球で最初に生まれたのは単細胞生物とされており、ここからどのようにして多細胞生物が進化したのかは、いまだに解明されていません。
「単細胞生物が、あるとき集まって多細胞になったのではないか?」
そんな説は以前からありましたが、実際にその過渡期を生きている生物を観察するのは困難でした。
私たちが普段目にする細菌も、たいていは単細胞です。
一時的に集まってコロニー(集団)を作ることはあっても、基本的には独立して生きています。
ところが地球上には、まるで「集まることが生存条件」であるかのように振る舞う単細胞の細菌が存在するのです。
それが今回の主役となる「多細胞性磁気走性細菌(MMB)」です。