動物は図形の規則性や違いを認識しているのか
昔から、人間と同様、動物も数の概念を持っていることは知られていました。
しかし、点、直線、多角形といった基本的な幾何学的図形の性質と関連性を認識する能力に関して、人間と動物には顕著な差があります。
そのため、形状の違いを認識する力(幾何学的図形の違いを見分ける力)は、これまで人間特有の能力だと考えられていました。

例えば、星の形状のプラスチックが複数存在する中に、月の形状のプラスチックを置いたとします。
この状況で月の形状のプラスチックを見つけ出すことができるなら、幾何学的図形の規則性や違いを認識できていることになります。
過去、こうした能力を持つか見極めるテストがチンパンジーやボノボで行われてきました。
しかし、ヒト以外の生物でこの能力が観察されたことはなかったと言われています。
では本当に動物には基本的な図形の違いを見分けることができないのでしょうか。
今回の研究では、知能が高い動物として知られるカラスの能力を調査しました。

研究チームはハシボソガラス(学名:Corvus corone)2羽を用い、コンピュータの画面に表示された6つの図形から1つだけ一致しない画像を検出するよう訓練しました。
カラスたちは、図形の選択に正解するとエサがもらえることを学びました。
研究チームは、この実験に関して次のように述べています。
「これらのカラスは、これまで同様の課題を与えられたことはありませんでした。
つまり今回の実験でカラスは、以前に学習したものではなく、カラスが元々もつ幾何学的な感覚(図形の規則性や違いを識別する能力)を発揮することになります」
私たち人間が生まれながらに持っている図形を認識する能力が、カラスにも存在するのか調べているのです。
では、どんな結果になったでしょうか。