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ワクチン接種はどちらの腕で受けるべき? / Credit:Canva
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次のワクチン接種は「右と左」どちらの腕で受けるのが良い? (2/2)

2025.05.02 11:30:53 Friday

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なぜ「同じ腕」にワクチン接種すると良いのか?

この研究では、健康な大人30人を対象に、COVID-19ワクチン(ファイザー製ワクチン)を3週間間隔で2回接種し、免疫の働きにどんな違いが出るかを調べました。

20人は1回目と2回目を同じ腕に、10人は反対の腕に接種しました。

その結果、同じ腕に打った人は、2回目の接種から5~7日後に、より多くの抗体(特に広い型に対応できるもの)を素早く産生していたことが分かりました。

一方、反対の腕に打った人では、抗体の立ち上がりが遅く、初期の防御反応が弱かったのです。

ただし、時間の経過とともに(2回目の摂取から4週間後には)両グループの抗体レベルはおおよそ近い水準に落ち着いたとされています。

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前回と同じ腕に受けた方が抗体の産生は早かった。 / Credit:Canva

また、今回の研究ではマウスを使った実験でも、同様の結果が得られました。

マウスの体の同じ側にワクチンを投与すると、リンパ節の監視役である免疫細胞「マクロファージ」で、既に反応する準備が整っていたのです。

これは「リンパ節による記憶」を意味します。

ワクチンを打つと、近くのリンパ節がその情報を学習・記憶するため、同じ病原体が来たときにすばやく反応できたのです。

では結局、ワクチン接種はどちらの腕で受けるのがいいのでしょうか?

今回の研究結果だけを考えると、「初回と同じ腕で受けることが、初期の免疫反応をより強く引き出す」と言えます。

ただし、最終的な抗体の量はどちらの腕でも似たような水準に達するため、重大な違いではありません。

研究チームも、「もし、異なる腕でワクチン接種を受けたとしても、心配しないでください。時間の経過と共に防御効果の差は小さくなります」と述べています。

そして、この研究は小規模に行われたものであり限界があります。

より大きな集団に対する検証が今後の課題と言えるでしょう。

研究チームも「これはワクチン戦略の一つの知見であり、今後の設計や記録方法に活かせる情報です」と慎重に語っています。

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