隕石衝突前から恐竜は絶滅に向かっていたのか?

研究者の一部はこれまで、白亜紀末の恐竜化石が他の時代に比べて減っていることから「恐竜は隕石の衝突以前からすでに多様性を失い、衰退していた可能性が高い」と主張していました。
たしかに化石記録を素直に見渡せば、約7600万年前をピークに恐竜化石の種類は減少していったように見えます。
しかし、これには重大な盲点がありました。
それは「見つかっている化石が少ない=実際に生きていた恐竜が少ない」とは限らない、ということです。
恐竜の化石は、その時代の地質や保存状態、現在の地表の露出状況に強く左右されます。
そこで今回の研究チームはこの「化石記録の質」そのものを問い直すことにしました。
彼らが注目したのは、アンキロサウルス科、ハドロサウルス科、ケラトプス科、ティラノサウルス科という4つの主要な恐竜グループです。
これらの恐竜について、白亜紀末の北アメリカ大陸の約1800万年間にわたる化石記録を詳細に調査しました。