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性知識はコンドーム使用率の高さと相関しなかった (2/3)

2025.05.12 18:00:06 Monday

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初体験の選択がコンドーム使用率に最も相関する

初体験の選択がコンドーム使用率に最も相関する
初体験の選択がコンドーム使用率に最も相関する / Credit:Canva

研究チームは2000年1月から2024年2月に発表された関連研究を幅広く検索し、条件を満たした249本の研究(延べ約25万1713人の米国の10代)のデータを統合して分析しました。

対象となった10代の平均年齢は16歳前後で、男女や人種、性的指向など多様な背景が含まれています。

解析では、過去の研究で指摘されていた36種類の心理社会的要因がどの程度コンドーム使用と関連するかを検証しました。

その結果、36要因中23種類についてはコンドーム使用との間に有意な関連が認められたものの、なかでも特に強い相関を示したのが以下の3つです。

最も相関が強かったのは「初回の性体験でコンドームを使ったかどうか(相関係数0.47)でした」。

最初の性交時にコンドームを使用した10代は、その後も一貫してコンドームを使い続ける可能性が高いことが分かりました。

2番目に相関が強かったのは「コンドームを使おうという意図・計画性(相関係数0.42)」でした。

日頃から「セックスではコンドームを使う」と意図している10代ほど、実際にコンドームを使用する傾向が強く見られたのです。

3番目に相関が強かったのが「パートナーとのコミュニケーション(相関係数0.41)」でした。

性交渉の前に相手とコンドームについて話し合える10代ほど、コンドームを使用する率が高いことが明らかになりました。

いずれも相関係数がおおむね0.4〜0.5程度と比較的強い関連が示され、年齢や性別、性的指向を問わず同様の傾向が見られたのです。

一方、多くの性教育プログラムで重視されている「正しい性知識」(避妊やSTI予防に関する知識)については、コンドーム使用との関連がほぼ見られませんでした。

具体的には、性知識の豊富さと10代のコンドーム使用率の相関係数は「-0.03(95 % 信頼区間が −0.10 〜 0.05 )」となりこれは「平均的にほぼゼロ、統計的にも有意でない」と解釈されます。

統計的にも有意な関連がなく、相関係数がほぼ0であることが報告されています。

ウィドマン氏は「知識を与えるだけでは人の行動は変えられない」と指摘し、情報中心の教育だけでは限界があると述べています。

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