水からウランを抽出する新手法を開発
水からウランを抽出する新手法を開発 / Credit:Canva
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水からウランを抽出する新手法を開発 (3/3)

2025.05.13 21:00:12 Tuesday

前ページ単三電池以下の電力でウランがとれる

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日本がウラン産出国になれるかもしれない

日本がウラン産出国になれるかもしれない
日本がウラン産出国になれるかもしれない / Credit:clip studio . 川勝康弘

この研究成果は、海中のウラン資源を現実的に利用する道筋をつける画期的な一歩と評価できます。

核燃料の安定供給源として海洋に目を向ければ、エネルギー安全保障と脱炭素の双方に寄与するポテンシャルがあります。

研究論文も「本研究は持続可能な資源リサイクルのための電気化学システム設計に新たな道を拓くものだ」と述べており、開発した手法がウラン以外の希少資源の回収にも応用できる可能性を示唆しています。

実際、この両極電気化学システムは、例えば工業廃水からの有害金属の除去や、使用済み製品からの貴金属回収など、さまざまな分野への展開が期待できるでしょう。

もし日本がこの技術をスケールアップし、大規模に海水からウランを“絞り取る”体制を整えられれば、世界的にも珍しい“海洋ウラン産出国”として活躍できるかもしれません。

国内の原子力発電所を動かすための燃料を、輸入ではなく自国の海から確保できるようになれば、エネルギー安全保障や貿易収支の改善にも大きく貢献するでしょう。

もちろん実際には、海の生態系や漁業への影響、装置の長期的な運用コストなど、解決すべき課題が数多く残されています。

しかし、“海からウランを得る”という構想自体が決して夢物語ではないと示された今、日本が海洋資源国へと生まれ変わる可能性も十分に考えられるのです。

また、回収したウランを実際の原子炉燃料に精製・加工するプロセスも必要です。

それでも専門家は、このような低コスト・低エネルギーでウランを回収できる技術の登場に大きな意義を見出しています。

まさに「海の中に眠るウランを電気の網で掬い上げる」ような発想であり、核燃料生産のパラダイムシフトにつながる可能性があるからです。

研究チームの一人は「この装置は極めて低い電力でウランを選択的に取り出せることを示しました。将来的に海水ウラン資源の実用化に道を開く成果です」とコメントしています(要旨)。

今後さらなる実証実験やスケールアップ研究が進めば、海が人類の巨大な原子力エネルギー源へと姿を変える日が来るかもしれません。

将来、原子力発電所が海水から絞ったウランで動く日を、私たちは目にすることになるでしょう。

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水からウランを抽出する新手法を開発 (3/3)のコメント

ゲスト

取ったウランを直で原子炉に放り込めるのなら原子力潜水艦はほぼメンテフリーになって、無人化達成した暁には人類が滅んでも潜水している謎の存在になれそうですね。
軍事用途ばかりではなくて、ずっと潜水して海中の様子モニタリングする用途とかにも使えますし、海中に都市を作って地上を捨てる日の時を考えると海水から都市のエネルギー源を直接得られるというのは大きいかなと。
あとはほかの核種を取り出せるようになれば海洋浄化もできてしまう。
もちろん核兵器作り放題っていうのもありますけど、核兵器の話になると製造コストそのものはさほど問題ではないので。
あれは管理コストの方が高いので。

    さむぽ

    土壌汚染も水で洗浄してその水から放射性物質回収もできるようになりますかね。

通りすがりの人

電圧と電力とは違う。

    ナトリウム

    たしかにそうですが、今回の対象は、抵抗値が同じ海水ですので、電圧と電力は比例する、と考えることができると思います

ゲスト

↑まさに

    ほんとに?

    もはやエネルギー開発は科学的根拠に基づく
    出来る出来ないはどうでもよくて。
    それを政治的に進める方がはるかに多くの
    時間と労力を要するわけで。エネルギーを
    自己開発出来ると言うことは自己防衛も武装
    も可能であることを意味するのでアメリカの
    政策的植民地にされている以上難しいでしょう
    発展途上国に開発支援をして外貨を稼いでも
    結局はコストの高い石油に依存する羽目になる
    でしょう。

名無兄

銅電極を用意し酸化させている時点で、銅を作るエネルギーと銅を還元するエネルギーが別にかかるのでそれを計算に含めないと。

とりあえず既存の原子力発電所の冷却水(海水)取り入れの所で試してみたら?海水も電力も分析室もそなえているから

嘘か本当か進展が楽しみ😊

実験室レベルはいいから
海で海水からウラン1キロを回収してみて欲しい

コストは取り敢えず度外視して海から直接ウランを1キロ回収すれば
日本はウラン大国になるはず

出来なければ実験室レベルだけの妄想で終わり

ゲスト

一般人でも核が扱えるか?

ゲスト

汚染水から重金属の回収は良いが、
ウランを分離して原発に使うくらいなら、水素を分離してエンジン回す方が
効率も環境負荷も良いのでは?

    ゲスト

    水素は燃やしてもエネルギー量がゴミカスだから燃料としてはしんどいぞ

    ゲスト

    未だに水素発電が効率良いと思ってるやつなんて居たんだな

    ゲゲゲススストトト

    エンジンを回すために水素を分離してたらコストが高いのでは?
    ウランは原子力に使えるから莫大なエネルギーを回収できて分離するコストを賄えるとか?

    ゲスト

    ウランは溶けてるだけですが
    水素は水分子に含まれているので
    分離ではなく、分解になります
    分解にエネルギーを使った場合
    水素からえられるエネルギーを上回るので無駄です

    ゲスト

    水素発電は水素を電気分解で取り出す二度手間があるので現実的じゃない・・・と今までは言われてきたけど、トヨタが設置型水素発電機の実用化を研究してて効率化低コスト化も進行中らしい。
    それどころか、水素エンジン自体はもうすぐ商用化モデルを発表する予定みたいね。
    2026年に実験用としてレーシングカーに水素エンジン積んで走らせるらしい。

    水で走る車って最高やな!

フィジカルショーンケイ

凄い。素晴らしい。海では電気が逸散するが、それを上手く組み合わせ、低コストで採取。100点です

Mark

電圧の説明が出てくるたびに、「電流は?」、「電流は?」となってます。この界隈では、電流値は常識なのか?

    通りすがり

    電圧☓電流=電力
    いまだに、電圧と電流と電力が理解できない御人がいらっしゃる。
    単三電池一本で簡単に数万ボルトの電圧が作れます。電流はピコアンペア。
    その逆もあり。

Mark

単3乾電池の電力て…

0点

「1kgのウランを集めるのに必要な電力は1,944kWh」と書いて有り、電圧もまた書いて有るのだから、賢明なる諸姉諸兄はここから簡単に電流を導き出せるだろう。後ここから先は想像だが、銅を作るための電力はと問う人が居るが、これは銅を使用するコストの中に含まれているのでは無いかと思った。
あと、一キロのウランを集めたとしてもその中から発電に有用なウランを分離しないといけないので、集めたからと言ってそのままでは使えないだろう。

    ローボコン

    >発電に有用なウランを分離しないといけないので、集めたからと言ってそのままでは使えないだろう。

    それは地面を掘って採るウランも同じなんで、そこは計算に入っているのでは?

ゲスト

>エネルギー消費の面でも、1kgのウランを集めるのに必要な電力は1,944kWh程度と見積もられ
ちゃんと書いてるのにコメント欄の人は記事読まないタイプなんか…

    Mark

    あ、ほんとだ。失礼しました。
    単3乾電池1本が4Whと仮定すると、約2μg取り出せることになりますか。
    しかし、なぜ、単3乾電池を引き合いに出したんでしょう。一般的で分かりやすいから?

    Mark

    訂正。
    2mgですね。

ゲスト

ウランと一口にいっても同位体がいろいろあるけど、海中の45万トンのうち原発などに使えるのは何%ぐらいなんだろう。

    ジージョ

    核分裂しないウランは兵器としてじゃな、、、

ゲスト

なぜウランのみ選択的に取り出せるのか?
その理由がわからない。

きこ

ナジロジー見てる人って知的レベルが高いよね
インテリだよね

ゴールド欲しい

金は搾り取れないか?

ニック

ウランだけを選択的に捕集できるのなら今話題のトリウムや他の放射性元素でも可能だろうか。
そもそも海水中にそれなりの量が存在するのかも知らないけど・・

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