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「座りっぱなし」は脳を萎縮させ、認知機能を低下させていた

2025.05.22 17:00:58 Thursday

現代人の多くは毎日、知らず知らずのうちに長い時間を座って過ごしています。

デスクワーク、通勤、テレビ視聴、スマホなど、そのすべてが「座りっぱなし」と関連しています。

しかしこの「座りっぱなし」という行動が、将来的に脳を縮ませ、認知能力を奪う要因になるとしたらどうでしょう?

米ヴァンダービルト大学医療センター(VUMC)による最新研究は、私たちにそうした警鐘を鳴らしています。

この研究によると、1日の座位時間が長いほど、脳が縮小し、認知機能が低下し、ひいてはアルツハイマー病の発症リスクを高める可能性が示されたのです。

研究の詳細は2025年5月13日付で医学雑誌『Alzheimer’s & Dementia』に掲載されています。

Sitting Could Be Shrinking Your Brain (And Exercise May Not Help) https://www.sciencealert.com/sitting-could-be-shrinking-your-brain-and-exercise-may-not-help Study reveals sedentary behavior is an independent risk factor for Alzheimer’s disease https://news.vumc.org/2025/05/13/study-reveals-sedentary-behavior-is-an-independent-risk-factor-for-alzheimers-disease/
Increased sedentary behavior is associated with neurodegeneration and worse cognition in older adults over a 7-year period despite high levels of physical activity https://doi.org/10.1002/alz.70157

運動習慣があっても、座る時間が長いと効果なし

研究チームは今回、50歳以上の成人男女404名にウェアラブル端末を装着してもらい、1日24時間の活動を7日間にわたって記録しました。

さらにその後7年にわたりMRIスキャンと認知機能テストを定期的に行い、脳の状態と記憶・言語能力の変化を精密に追跡しました。

その結果、1日に13時間前後を座って過ごしていた人々は、脳の特定領域がより早く萎縮し、認知機能も低下していたことが判明したのです。

とくにダメージが確認されたのは、記憶に関わる海馬や、言語処理を担う領域です。

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重要なのは、調査対象者の約87%が、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)が推奨する「週150分の中強度運動」を達成していたという点です。

つまり、運動をしていても、座っている時間が長い人は脳の老化が進んでいたのです。

また、座位行動と脳萎縮の関連性は、遺伝的にアルツハイマー病のリスクが高い「APOE-ε4」アレルを持つ人々で特に強く見られました。

これにより、「運動習慣があれば、座っていても問題ない」という従来の楽観的な考えは見直されつつあります。

「アルツハイマー病のリスクを下げるには、1日1回運動するだけでは不十分です。日中にどれだけ座っているかを意識することが、脳の健康維持には欠かせません」と、研究主任のマリッサ・ゴグニアット(Marissa Gogniat)博士は警告します。

次ページなぜ座りっぱなしは脳を萎縮させるのか?

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