昼間に免疫力UP!ゼブラフィッシュで実証
今回の研究で注目されたのは、私たちの体内で最も多く存在する免疫細胞「好中球(こうちゅうきゅう)」です。
好中球は、病原菌が体内に侵入すると真っ先に現場へ向かい、細菌を飲み込んで殺す「ファーストレスポンダー」として知られています。
研究チームは、ゼブラフィッシュという小型の淡水魚を用いて実験を行いました。
この魚はヒトと遺伝子構造がよく似ており、また体が半透明なため、生体内での免疫反応をリアルタイムで観察するのに適しています。

実験では、昼間に細菌感染させた魚のほうが、夜に感染させた魚よりも高い生存率と強い殺菌力を示しました。
特に、朝の活動初期に感染させた場合、免疫応答がピークに達していたのです。
この現象の裏にあるのが、時計遺伝子「Per2(パー・ツー)」の働きでした。
Per2は、概日リズム(サーカディアンリズム)を調整する重要な因子で、昼間にその発現量が高まります。
研究チームがこの遺伝子を欠損させた変異体では、たとえ昼間に感染しても免疫反応が弱くなり、生存率も大幅に低下しました。
さらに興味深いことに、Per2を好中球だけに復活させたところ、ふたたび殺菌能力が高まり、生存率も改善されたのです。
つまり、光によってPer2が活性化され、それが好中球に昼間であることを「知らせるスイッチ」の役割を果たしていると考えられます。