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Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部
health

日光を浴びると免疫システムが強化されていた!

2025.05.28 07:00:52 Wednesday

太陽の光を浴びると、気分が晴れやかになったり、明るくなることは誰しも経験があるでしょう。

しかし今回、科学者たちはそれだけではない、日光が「免疫システムそのもの」を強化するという驚きの仕組みを明らかにしました。

ニュージーランド・オークランド大学(University of Auckland)の研究チームは、白血球の一種である免疫細胞「好中球」に着目し、日光によって殺菌能力が高まる分子メカニズムを解明したのです。

研究の詳細は2025年5月23日付で科学雑誌『Science Immunology』に掲載されています。

Exposure to Daylight Boosts The Immune System, Study Suggests https://www.sciencealert.com/exposure-to-daylight-boosts-the-immune-system-study-suggests Daytime boosts immunity, scientists find https://www.eurekalert.org/news-releases/1084686
A light-regulated circadian timer optimizes neutrophil bactericidal activity to boost daytime immunity https://www.science.org/doi/10.1126/sciimmunol.adn3080

昼間に免疫力UP!ゼブラフィッシュで実証

今回の研究で注目されたのは、私たちの体内で最も多く存在す免疫細胞「好中球(こうちゅうきゅう)」です。

好中球は、病原菌が体内に侵入すると真っ先に現場へ向かい、細菌を飲み込んで殺す「ファーストレスポンダー」として知られています。

研究チームは、ゼブラフィッシュという小型の淡水魚を用いて実験を行いました。

この魚はヒトと遺伝子構造がよく似ており、また体が半透明なため、生体内での免疫反応をリアルタイムで観察するのに適しています。

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Credit: canva

実験では、昼間に細菌感染させた魚のほうが、夜に感染させた魚よりも高い生存率と強い殺菌力を示しました。

特に、朝の活動初期に感染させた場合、免疫応答がピークに達していたのです。

この現象の裏にあるのが、時計遺伝子「Per2(パー・ツー)」の働きでした。

Per2は、概日リズム(サーカディアンリズム)を調整する重要な因子で、昼間にその発現量が高まります。

研究チームがこの遺伝子を欠損させた変異体では、たとえ昼間に感染しても免疫反応が弱くなり、生存率も大幅に低下しました。

さらに興味深いことに、Per2を好中球だけに復活させたところ、ふたたび殺菌能力が高まり、生存率も改善されたのです。

つまり、光によってPer2が活性化され、それが好中球に昼間であることを「知らせるスイッチ」の役割を果たしていると考えられます。

次ページ光を浴びることは、免疫にとっての「目覚まし時計」

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