黒い氷山との出会い
この「漆黒の氷山」を発見したのは、カナダ東海岸のニューファンドランド島に住む地元の漁師、ハルル・アントニウセン(Hallur Antoniussen)さんです。
彼は今年の5月中旬、漁船「サプティ号」に乗り、ラブラドル沖でエビ漁をしていた際にこの黒い氷山を目撃しました。
船のクレーンに登ったアントニウセンさんの目に飛び込んできたのは、まるで煤(すす)を塗り込めたような漆黒の氷の塊でした。
「転がって浜に打ち上げられた氷山は見たことがありますが、これはそれらとはまったく違っていました。
全体が真っ黒で、形もダイヤモンドのようだったのです」と彼は語っています。

氷山の大きさは海上では正確に測れませんが、一戸建て住宅の少なくとも3倍以上はあったといいます。
写真を撮影したのは約6キロ離れた場所から。
普段はカメラを持ち歩かないアントニウセンさんですが、この異様な光景を見て急いで自室に戻り、携帯電話で撮影したとのことです。
SNSに投稿された写真は瞬く間に拡散し、多くの憶測が飛び交いました。
しかしこの氷山の正体は、単なる珍現象ではなく、数千年、あるいは数万年の時間を経た「氷の旅路」が生んだ自然の芸術だったのです。