黒い氷山はどうやって作られたのか?
氷山が通常白く見えるのは、内部に閉じ込められた無数の空気の泡が、あらゆる波長の光を散乱させるためです。
しかし時間が経つにつれて氷が圧縮され、内部の空気が押し出されると、氷はガラスのように透明になり、赤系の光の波長は吸収され、青い光だけが散乱されるため、青白く見えるようになります。
では、黒くなるのはなぜでしょうか?
カナダ・ニューファンドランドメモリアル大学の氷河学者レフ・タラソフ教授によれば、このような氷山には土や岩、さらには火山灰のような暗い物質が混ざり込んでいる可能性があります。
氷河は内陸から海に向かって流れ出る過程で地面を削り、岩石や堆積物を取り込んでいきます。
こうして巻き込まれた細かな岩粉が長い年月をかけて氷の内部に均等に分散すると、全体的に灰色や黒っぽい色合いに見える氷山ができあがるのです。
実際、タラソフ教授はグリーンランドで、黒い氷塊の小さな例を観察したことがありますが、今回のような大きさと均一な色合いを持つものは初めてだったそうです。

さらに興味深い説として、グリーンランド北西部には過去に隕石が衝突した痕跡があり、その際の宇宙塵が氷に混ざった可能性も否定できないといいます。
あるいは、アイスランドやグリーンランドに存在する火山からの噴煙が、氷床に降り積もった結果かもしれません。
またこの黒い氷山は、短期間でできるものではなく、少なく見積もっても数千年、多く見積もると10万年の歳月をかけて作られた可能性があるとのことです。