健康問題によりパフォーマンスが落ちる
働き方改革や高齢化の進行、そして新型コロナウイルス感染症によるライフスタイルの大きな変化により、日本人労働者の健康と仕事のパフォーマンスの関係はこれまで以上に注目されています。
従来、企業は「欠勤(アブセンティーズム)」による損失を重視してきました。
しかし最近では「出勤していても健康問題によりパフォーマンスが落ちている状態=プレゼンティーズム」が、より深刻な課題として浮上しています。

プレゼンティーズムは外から見えにくく、しばしば軽視されがちです。
それでも、その影響は確実に蓄積され、企業の生産性や業績に無視できない損失を与えていると指摘されています。
特に、COVID-19以降のテレワーク普及や生活リズムの変化により、新たな健康問題の出現も懸念されてきました。
こうした点を明らかにして改善するため、本研究では、2023年2~3月にかけて、全国の20〜69歳の就業者1万人を対象に、インターネット調査が実施されました。
性別や年齢など人口構成比を反映するよう調整された構成で、正規・非正規雇用者、フリーランスなど多様な就労形態を含んでいます。
調査票では、過去4週間に仕事に支障をきたした健康問題の有無や症状、影響の度合い(パフォーマンス低下)について11段階で自己評価する形式が取られました。
さらに年収データと合わせて、症状別の労働生産性損失額が試算されました。