ラクダ乳が喘息持ちの救世主に⁈
ハウスダストとは、室内に漂うチリや繊維くず、動物の毛、フケなどの総称ですが、その中でもとりわけ喘息やアレルギーの引き金になるのが「ハウスダストダニ」です。
目に見えないほど小さなこの生物は、布団やカーペット、クッションなどの中に潜み、人間のフケや垢を食べて生きています。
特に温暖で湿った環境を好むため、日本の家庭では年中無休で活動しており、どんなに掃除をしても完全に排除することはできません。
こうしたダニの死骸や排泄物は、気道を刺激してアレルギー反応を引き起こし、喘息の発作へとつながります。

ラクダ乳がもたらした驚きの効果
今回の研究では、ハウスダストダニによる喘息を人工的に引き起こしたマウスに対し、ラクダのミルクを与えるという実験が行われました。
研究では、マウスを次の3つのグループに分け、経過を比較しました。
・ダニで喘息を誘発したマウス
・ダニで喘息を誘発した上で、ラクダ乳を与えたマウス
・何もしない健康なマウス(対照群)
すると、ラクダ乳を摂取したマウスでは、ダニによる気道の過剰な収縮反応(いわゆる気道過敏性)が明らかに抑制され、咳や息切れの原因となる炎症性細胞の集まりも減っていたのです。
この過敏性は、健康なマウスと同じ水準にまで下がっていたといいます。

特に喘息の発症に深く関わる「好酸球」や「Th2細胞(ヘルパーT細胞の一種)」の数がラクダ乳によって顕著に減少したことが確認されました。
また、アレルギー性炎症を悪化させる「IL-4」や「IL-13」などのサイトカインの分泌も低下していました。
この結果は、単なる自然食品としてのラクダ乳を超え、科学的にも有効性がある可能性を示した初の本格的な実験として注目を集めています。