ラクダ乳はなぜ効いた? 砂漠のミルクに秘められた力とは
では、なぜラクダ乳が喘息に対してこれほど効果を発揮できたのでしょうか?
その秘密は、ラクダ乳に豊富に含まれる免疫調整成分(免疫を調節する作用をもつタンパク質や抗体)にあると考えられています。
ラクダ乳は、牛乳や他の哺乳動物のミルクに比べて、ミネラル、ビタミン、抗酸化物質が豊富です。
加えて、免疫をサポートするラクトフェリンや免疫グロブリンG(IgG)抗体も多く含まれており、これらが炎症反応の制御に関与している可能性があります。
実際、喘息患者ではIgGのレベルが低下していることが報告されており、ラクダ乳の摂取によってIgGを補うことで免疫バランスの回復が期待されます。
今回の研究では、ラクダ乳の摂取により、炎症性のケモカインである「CCL17」の濃度が肺で有意に減少していることが確認されました。
CCL17は、アレルギー反応に関与するTh2細胞(ヘルパーT細胞の一種)を肺へと誘導する役割を果たしており、この物質の抑制は気道での免疫細胞の過剰な集積を防ぎ、炎症を緩和する結果につながったと考えられます。

今後の課題と展望
とはいえ、今回の研究はマウスを対象にした実験であり、人間にそのまま適用できるとは限りません。
また、ラクダ乳のどの成分が正確に効果を発揮しているかはまだ特定されておらず、成分分析や人間を対象とした臨床試験が必要です。
それでも、2022年に発表された小規模な臨床試験では、ラクダ乳が実際に小児喘息の症状を改善したという報告もあり、今回の研究結果とあわせて、さらなる科学的探究が求められます。
将来的には、ラクダ乳を食事療法や補助的治療法の一環として取り入れる可能性も視野に入ってくるかもしれません。
砂漠で暮らすときに有利になるのですかね、それでお乳にそういう機能を持たせていたりするのでしょうか。