豪ACTが「愛犬との触れ合い最低3時間の義務」草案を提出
まず、今回の提案がなされたACT(Australian Capital Territory)について触れておきましょう。
ACTはオーストラリアの首都キャンベラを含む行政区で、政治の中心地であると同時に、法律や社会制度の先進的な取り組みがなされる「実験的地域」としても知られています。
この地域ではすでに2019年に「動物は感受性ある存在である」ことを認めており、動物の福祉に対する高い意識が根付いています。
ここで言う「感受性」とは、動物が喜びや痛み、恐怖、愛情といった感情を持つという意味です。
そうした理念に基づいて提示されたのが、今回の「飼い主に1日最低3時間の愛犬との接触を義務化する」というガイドライン草案です。

犬は非常に社会的な動物であり、実際に現代の犬の多くは、長時間孤独にされることで強いストレスを感じてしまいます。
ある研究では、全犬の14〜29%が「分離不安」による問題行動を示すと報告されています。
これは無駄吠えや家具の破壊、脱走などの形で現れます。
さらに、十分な運動や交流がない犬は肥満、落ち込み、退屈などにも苦しむことが知られています。
こうした事情を踏まえ、ACTは「1日3時間」という具体的な時間を提示することで、飼い主に犬とのふれあいの重要性を明確に伝えようとしているのです。
しかし、この草案は一般市民の間で賛否両論を巻き起こしています。
多くの飼い主は「愛犬を大切にしたい」と考えていますが、それが数値目標として義務化されることに対しては、戸惑いの声も少なくないのです。
では具体的に、どのような声があるのでしょうか。
そしてこうした時間の義務化よりも大切なことはあるのでしょうか。