リュウグウから「太陽系最古の岩石」を検出
今回の研究で、北海道大学のチームはリュウグウのサンプル(C0006粒子)から「RC06」と名付けたCAIを発見。
このCAIには、ヒボナイトとスピネルという高温鉱物が含まれており、酸素同位体の組成が太陽系初期の物質に一致することが分かりました。
そして最も注目すべき成果は、このCAIに含まれるアルミニウムとマグネシウムの放射壊変(26Al–26Mg年代測定法)を用いて、形成された時期をピンポイントで特定したことです。
その結果、リュウグウ由来のRC06は、太陽系の誕生直後である約45億6730万年前に形成されていたことが判明しました。

これはリュウグウが太陽系でもっとも初期に形成された岩石のひとつであることを意味します。
さらに重要なのは、リュウグウには大型のCAI(サブミリサイズ以上)が存在せず、小型のものしか見つからない点です。
これはリュウグウが太陽系の遠方(原始木星による圧力バンプの外側)で形成されたことを示唆していると研究者は説明します。
大型の粒子はガスとの摩擦で太陽に向かって流されてしまう一方、小さな粒子だけが遠方にとどまることができたと考えられているのです。
今回の研究は、リュウグウがどこで、どのように生まれたのかという謎に対して、科学的な証拠を初めて示した画期的な成果です。
チームは今後、NASA(アメリカ航空宇宙局)が回収した小惑星「ベヌー」のサンプルとの比較解析も進める予定とのこと。
それにより、太陽系初期の物質の分布や、惑星がどのように誕生したかという壮大な謎にさらに迫ることができるでしょう。