カツオノエボシは1種じゃなかった!明らかになった「多様性」
分析の結果、これまで単一種とされていたカツオノエボシが、4つの異なる種からなるグループだったことが分かりました。
この4つの種とは、Physalia physalis(従来知られていた種)、Physalia utriculus、Physalia megalista、Physalia minutaです。
このうちのいくつかは、18、19世紀には別種として提案されたこともあったため、当時の考え方が正しかったと分かりました。
またPhysalia minutaは新しくオーストラリアやニュージーランド近海で確認された種です。

さらに、研究チームは海洋循環モデルを用いた解析を行い、これらの種それぞれが、地域の海流や風のパターンによって遺伝的に分断された「サブポピュレーション(地域集団)」を形成していることを突き止めました。
海洋生物学では長らく、「外洋は地理的障壁が少ないため、生物の集団は遺伝的に均一である」という仮説が支持されてきました。
しかし今回の研究は、この仮説に真っ向から反論する結果となりました。
研究チームも、「私たちは、それらがすべて同じ種であると思っていたのでショックを受けました」と語っています。
この発見は、今後の海洋生物学に大きな影響を与えるでしょう。
研究チームは今後、どのような選択圧(環境条件や競争など)がこれらの分化を生み出したのか、またこの多様性がどのように維持されてきたのかについて、さらに詳しく研究を進めるとしています。
美しい見た目に反して恐ろしい毒を持つカツオノエボシ。
電気クラゲと呼ばれるその生物の正体が、ようやく明らかになりつつあります。