100回の失敗と「101回目の奇跡」
「アオコンゴウインコ(学名:Cyanopsitta spixii)」は、その美しい青色と希少性から、長年にわたり世界的な保護活動の象徴とされてきました。
しかし野生下での個体数は減少の一途をたどり、2000年には最後の野生個体が確認されて以降、事実上の絶滅が宣言されました。
現在、アオコンゴウインコは各国の動物園や保護施設のみにわずかに生き残っており、その生存は繁殖プログラムに託されています。

ベルギーのペアリダイザ動物園も、世界的な繁殖ネットワークの一員です。
同園ではこれまで、12羽のアオコンゴウインコが非公開の保護施設で慎重に飼育されてきました。
彼らは極めて繊細で人間を警戒しやすく、ストレスが少しでも加わると繁殖が難しくなるという問題を抱えています。
導入から数年間で産まれた卵はなんと100個。
しかし、いずれも受精せず、孵化には至りませんでした。
長い時間と努力が積み重ねられるなか、誰もが次第に期待を失いかけていました。
ところが今年9月、ついに転機が訪れます。
101個目の卵が奇跡的に受精し、2025年9月21日、1羽の雛が誕生したのです。
【こちらが実際に孵化した雛の画像】
この成功の裏には、最近の給餌内容の改善や、経験豊富な専門スタッフによる徹底した管理があったといいます。
孵化直前には、親鳥の育児経験不足によるリスクを避けるため、卵は専門チームにより回収されました。
その後、24時間体制で2時間ごとに手作業で給餌され、細心の注意が払われています。
生まれたばかりの雛はまだ青い羽を持っていませんが、その命は今、世界中の希望そのものです。
「2時間ごとの給餌は体力的にも大変ですが、世界一絶滅の危機にある種の未来を手の中で守っている実感が私たちの原動力になっています」と、飼育員のトーマス・ビアジ氏は語ります。