野生復帰への道のりと、世界が見守る“青い宝石”の未来
アオコンゴウインコは、ブラジルの北東部に広がるカーティンガと呼ばれる乾燥林を本来の生息地としていました。
ところが開発や密猟によって激減し、ついにIUCN(国際自然保護連合)から野生絶滅種に認定されます。
こうした背景のなか、世界各国の動物園や保護団体が力を合わせ、遺伝的多様性を確保した個体群の再生と、将来的な野生復帰を目指してきました。
ペアリダイザ動物園も、ブラジルのICMBio(シコ・メンデス生物多様性保全研究所)やサンパウロ動物園などと連携し、計画的な繁殖プログラムを推進しています。
2022年には、ブラジルの野生下にアオコンゴウインコを再導入するプログラムが始動し、いくつかの個体が実際に自然へと放鳥されました。
しかしこのプロジェクトは十分な継続的支援が得られず、一時的に中断されるなど課題も残ります。
【誕生した奇跡の雛に餌やりをしている様子がこちら】
今回誕生した雛は、野生に戻されることはありませんが、今後の繁殖計画の“要”として、さらに多くのヒナ誕生や遺伝的多様性の維持に貢献する存在となります。
なお、ペアリダイザ動物園で繁殖計画に参加しているアオコンゴウインコは一般公開されておらず、人為的なストレスを最小限に抑えるよう、細心の注意が払われています。
現在も12羽が非公開エリアで飼育されており、繁殖成功への道のりは決して平坦ではありません。
それでも、100回の失敗の先に現れた「101回目の奇跡」は、科学者や保護関係者だけでなく、世界中の人々に希望と勇気を与えています。
生きられる環境がなくなったから滅びたのに、環境が改善されないまま自然に放つのはなぜ?