ドイツの病院食は「健康的でない」と判明

分析の結果、分析対象となったドイツの医療施設で提供されている食事は、HEI-2020で39点から57点(100点満点)、PHDIでは30点から44点(150点満点)という、いずれも低評価にとどまっていました。
カロリーの大半は、赤身肉や乳製品などの動物性食品、白米や白パンなどの精製穀物、添加糖、飽和脂肪に由来するものでした。
一方で、健康的とされる植物性食品(豆類、ナッツ、果物、野菜、全粒穀物など)は、カロリー全体の20%未満にとどまり、PHDI で推奨される80%にはほど遠い状態でした。
たんぱく質も、特に介護施設では推奨量の73%未満とされており、サルコペニア(加齢性筋肉減少症)や回復の遅れといった健康リスクが懸念されます。
また、ビタミンB群、ビタミンC、カリウム、マグネシウム、カルシウム、鉄、亜鉛などの微量栄養素も、推奨摂取量の67%未満と著しく不足していました。

ちなみに環境面でみると、動物性食品は、食材全体の重量では33%程度であるにもかかわらず、環境負荷全体の約75%を占めていました。
特に、牛肉と豚肉は温室効果ガス排出量の約38%、土地利用の約45%に寄与しており、ヨーグルトなどの乳製品も環境負荷の大きな原因となっていました。
一方で、より持続可能なタンパク質源である豆類やナッツ類は総調達量の1%未満でした。
これらの結果を受けて研究チームは、「病院で提供される食事は、長期的に摂取し続けた場合、健康リスクをもたらす可能性がある」と警鐘を鳴らしています。
この研究は、病院や介護施設という「健康を回復させる場」において、食事そのものが健康を脅かし、かつ環境を悪化させる可能性があるという二重の問題を明らかにしました。
対象施設が5か所と限定的であることや、実際に患者が「どれだけ食べたか」までは分析していないという制約はあるものの、提供される食事の設計に大きな見直しが必要であることは明白です。
今後、医療機関こそが「健康と地球を両立させる食のリーダー」として、より持続可能な食事への転換を進めることが求められているのかもしれません。
ドイツはそういうのめっちゃうるさそうなイメージなのに…。