本気を出せれば本当に伸びる「セルフ・ハンディキャッピングをやめる方法」
1998年のメタ分析(Zuckermanら)では、セルフ・ハンディキャッピングの頻度が高いほど、あらゆる課題においてパフォーマンスが落ちる傾向があると報告されています。
そして、ドイツ・エアランゲン=ニュルンベルク大学の心理学者シュヴィンガー博士らの研究では、この予防線を張る行動「セルフ・ハンディキャッピング」をやめると、パフォーマンスが上がるということも報告されているのです。
このドイツの研究では、約900人の大学生を対象に、複数の時点にわたってセルフ・ハンディキャッピング傾向と学業成績を追跡しました。その結果、セルフ・ハンディキャッピング傾向が時間とともに減少した学生ほど成績も向上しているという相関が確認されたのです。
ここで重要なのは、「セルフ・ハンディキャッピング」という行動が、無意識の“手抜き”だという点です。
たとえば、締切や試験前は、なぜか部屋の掃除が捗るという人は多いかもしれません。こうした行動は気分転換として有効な場合もありますが、もし試験後などに「部屋の掃除しちゃって全然勉強できなかった(だから今回は成績悪くても仕方ない)」という考え方をしてしまう場合、それはセルフ・ハンディキャッピング行動の可能性があるのです。
これは「本気で努力して失敗する恐怖」から逃れるために、本気を出さない状況をあえて(無意識に)作り出してしまう心のクセなのです。
シュヴィンガー博士らの研究が明らかにしたのは、そうした心のクセを少しずつ減らしていくと、実際に成績が上がっていくというポジティブな変化の可能性でした。

では、どうすれば私たちはこの「言い訳癖」から抜け出せるのでしょうか?
鍵となるのは、「自分の知能や能力は変えられる」と信じる力です。
実験では、「知能は努力によって伸ばせる」と教えられた学生たちは、挑戦を恐れず、自分に有利な条件を選んで前向きに課題に取り組みました。一方で、「知能は固定されたもの」と教えられた学生は、失敗を恐れるあまり、自分で不利な条件を選び、本気を出さない選択をしがちだったのです。
つまり、「変われる」と信じることが、変わるための第一歩になるのです。
このような“成長マインドセット”は、次のような方法で育てることができるとされています。
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小さな努力を習慣化する
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上手く行ったことを記録し、後で振り返る
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「失敗=能力不足」という認知を、「失敗=学習のチャンス」に変える
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本気で取り組んだ結果に対して、自分自身をきちんと褒める
こうした積み重ねが、「自分はもう能力の限界」という考えから、「本気を出せば伸びる」という希望に変えていくのです。
誰しも、自分の限界を決めつけたくなる瞬間があります。でも本当の限界とは、能力そのものではなく、「もう無理だ」と信じてしまう心の中にあるのかもしれません。
言い訳を捨てて、本気を出してみませんか? そのとき初めて、あなたの“本当の力”が動き出すのです。
そんなに世間の人が本気出してないようには見えないのですがね。
そんな余裕あるのですか?