トンボ進化史の空白を埋める存在に
この発見が特に注目されるのは、進化史的な位置づけです。
今回の新種は、現生種も含む大型グループ Cavilabiata(カヴィラビアータ) に属し、北米で最古の記録となります。
これにより、白亜紀後期におけるトンボの系統分布と進化の理解が大きく進みました。

さらに、この翅の構造は滑空飛行に適応していたことを示しています。
現代の渡りトンボ類にも見られる形質であり、この種が長距離移動や特定の生態的ニッチを利用していた可能性が考えられます。
恐竜が地上を闊歩していた時代、空ではこうしたトンボが獲物を探し、あるいは恐竜や翼竜に捕食される存在として食物網の一端を担っていたと推測されます。
また、この化石は、州立恐竜公園の白亜紀地層における昆虫化石の新たな保存形態(印象化石)の初記録でもあります。
これにより、昆虫の多様性や保存環境について新たな探索の道が開かれました。
チームは今後、発掘範囲や手法を広げることで、さらに多くの昆虫化石が見つかる可能性が高いとしています。