世界中で鳥たちのさえずりの時間が長くなっている
解析の結果、光害の強い地域では、鳥たちのさえずりが平均で50分長くなっていることが判明しました。
具体的には、そうした地域に住む鳥は、暗い地域の鳥に比べて18分早く朝に鳴き始め、32分遅く夜に鳴き終えるというのです。
興味深いことに、光害の影響はすべての鳥に均等ではなく、特定の特徴を持つ鳥ほど強く影響を受けていることがわかりました。
研究チームによると、目が大きい、開けた場所に巣を作る、渡り鳥である、分布域が広いなどの特性を持つ鳥が、特に大きく行動を変えていたといいます。
さらにこの影響は、特に繁殖期に顕著であることも分かりました。
繁殖期は鳥にとってもっともエネルギー消費が大きく、休息が不可欠な時期です。
そのため、活動時間が伸びることで体力が消耗しやすくなるかもしれません。
それでも研究チームは、現段階で、この変化が鳥にとって良い結果になるのか、悪い結果になるのか、それとも無関係なのかは、まだはっきりしていないと述べています。
活動時間が延びることで、採食時間が増えたり、求愛・縄張りの主張といった繁殖行動が活発になる可能性もあるからです。
実際、鳥類には「片方の脳だけを眠らせる(半球睡眠)」という能力を持つ種もおり、活動中でもある程度の休息が取れる可能性があります。
つまり、光害によって延びた活動時間がもたらす影響は、種や環境条件によって正にも負にもなりうるというのが現時点での結論です。
この研究の限界として、影響の因果関係がすべて明確に解明されたわけではないこと、また個体の健康状態や繁殖成功率などの「長期的な適応度」への影響については今後のさらなる研究が必要であることが挙げられます。
とはいえ今回の研究は、これまで断片的に語られてきた光害の影響を世界規模で体系的に示した初めての成果として大きな意味を持ちます。
そして研究者たちは、今後このデータの蓄積が、気候変動対策と同様の「国際的な光害対策」につながる可能性を強く示唆しています。
研究チームは結論として、「夜の暗さの取り戻すことは21世紀の保全における最重要課題であり、国際的な協力が必要だ」と述べています。
果たして私たちは、夜空に本来の暗闇を取り戻すことができるのでしょうか。
鳥たちのさえずりが告げているのは、もしかすると“自然のリズム”が失われつつある未来への警鐘なのかもしれません。
やっぱり街はドームで覆いましょう。
空調も効きますし光害も予防できて良い感じです。