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「塩分で高血圧になる理由」塩による“脳の炎症”だった!?最新研究が示す新事実

2025.08.31 12:00:47 Sunday

塩分の摂り過ぎを気にしてラーメンのスープは残す、という話はよく聞きます。

塩分は高血圧の原因になることが広く知られており、血圧が高くなると血管がボロボロになってしまい、心臓病や脳卒中など様々な病気のリスクが高まるため、普段から塩分摂取を気にしている人は多いでしょう。

塩分で血圧が上がってしまう理由は一般的に、血液中の塩分濃度を下げるため血流が増すからだと説明されています。

実際、その認識で何も問題はないように感じます。

しかし、カナダの名門マギル大学(McGill University)の研究チームは、「塩分が引き起こす高血圧は、腎臓や血管だけでなく脳の炎症も関係しているのではないか」と仮説を立て、そのメカニズムを明らかにしました。

塩分が実は脳に炎症を起こして、それが高血圧の原因になっているというのは新しい視点です。

この研究の詳細は、2025年8月19日に科学誌『Neuron』にオンライン掲載されています。

High-salt diet inflames the brain and raises blood pressure, study finds https://www.mcgill.ca/newsroom/channels/news/high-salt-diet-inflames-brain-and-raises-blood-pressure-study-finds-366452
Microglia regulate neuronal activity via structural remodeling of astrocytes https://doi.org/10.1016/j.neuron.2025.07.024

なぜ“しょっぱい食事”は血圧を上げるのか?長年の謎に挑んだ研究

日本人の多くは、世界の中でも塩分摂取量が多いといわれています。

厚生労働省の調査によれば、平均して1日10g前後(欧米では7~8g程度、WHOは5g未満を推奨)の塩を口にしている人が多いのです。

確かに日本食は、味噌汁や漬物、しょうゆなど、日常的な食事の中に塩分がたっぷり含まれています。

そのため、年に一度の健康診断で「血圧が高めですね」と言われてしまう人も珍しくありません。

では、なぜ塩分を多くとると血圧が上がるのでしょうか。

これまでの医学では、塩分(ナトリウム)をとりすぎると血液中の塩分濃度が上がり、その濃度を下げるために血液中に水分が多く引き込まれ、結果として血液の量が増え、血管にかかる圧力――つまり血圧が高くなると説明されてきました。

また、腎臓は体内の塩分バランスを調整し、余分な塩分を排出する働きを持っていますが、腎臓の働きがうまくいかないと体に塩分が残りやすくなり、やはり血圧が上がりやすくなると考えられてきました。

つまり、「塩分をとる→血液中の塩分濃度が上がる→血液の量が増える→血管に圧力がかかる(血圧が上がる)」という流れが従来の説明です。

しかし、同じ量の塩分をとっても血圧があまり上がらない人もいれば、逆に少しの塩分でも敏感に反応して血圧が上がる人もいます。

こうした個人差は、従来の説では十分に説明することができませんでした

こうした疑問に対して最近では、血圧をコントロールしているのは心臓や血管、腎臓だけではなく、脳も重要な役割を担っていることが分かってきました。

たとえば脳の「視床下部(ししょうかぶ/Hypothalamus)」は、自律神経やホルモンの働きを通じて、血圧を細かく調整しています。

さらに、動物実験などから、脳内の免疫細胞である「マイクログリア(Microglia)」が活性化し炎症が起こると、血圧が上昇することも報告されるようになりました。

このような研究の積み重ねから、「塩分を摂りすぎたとき、脳で炎症が起きることで血圧が上がるのではないか?」という新しい仮説が生まれたのです。

今回の研究は、この仮説をラットを用いた実験で確かめています。その結果はどのようなものだったのでしょうか?

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