消防士の死亡事故の16.6%は訓練中に発生!仮想訓練が役立つ!?
近年では,AR(拡張現実)の技術が様々な場面で活用されています。
ARとは、スマートフォンや専用ゴーグルを使って、現実の風景にデジタルの映像や情報を重ねて表示する技術です。
たとえば、スマホ越しに見ると部屋に家具や恐竜の3Dモデルが現れるなど、現実とデジタルが一体化するような体験ができます。
また仮想空間に没頭できるVR(仮想現実)や、現実世界と仮想世界を高度に融合・同時操作が可能なMR(融合現実)の技術も進歩しています。
これらの技術は近年、家具の配置シミュレーションや博物館のバーチャル展示、医療リハビリやスポーツトレーニングなど多彩な分野で活用が進んでいます。
しかしそれだけではありません。
医療や宇宙飛行士の訓練、工場の安全教育など、命にかかわる現場での利用も拡大しつつあるのです。
たとえば消防士の訓練は、実際の火災現場に近い状況を再現する必要があるため、従来は建物に火をつけたり、煙を充満させる「実地訓練」が主流でした。
こうした訓練では火傷や一酸化炭素中毒など、現実にケガや命の危険がつきまといます。
事実、2024年にはアメリカ国内で発生した消防士の死亡事故のうち、16.6%が訓練中に発生しています。
そうした訓練における、筋肉や関節のケガ、熱中症、強いストレスなども日常的に問題となっています。
また、施設の制約や安全基準の関係で、本物の火事現場とまったく同じ状況を再現するのは非常に難しいのが現実です。
しかし訓練のリスクを下げようとすればするほど、現場に近い緊張感や判断力を十分に養えないという課題もありました。
そこで役立つのが、ジョージ・メイソン大学のプロジェクトです。