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Credit: canva
health

カカオ抽出物に「慢性炎症」を抑える効果、米国の研究報告

2025.10.10 07:00:17 Friday

カカオ豆から抽出した成分をサプリメントとして毎日摂取することで、加齢とともに体内でじわじわと進行する“慢性炎症”を抑える効果があるかもしれない。

そんな研究報告が、米ブリガム・アンド・ウィメンズ病院(BWH)を中心とする国際研究チームにより発表されました。

さらに、この加齢に伴う慢性炎症を抑えることで、心疾患リスクも低下させられる可能性があるようです。

研究の詳細は2025年9月17日付で科学雑誌『Age and Ageing』に掲載されています。

Cocoa Extract Supplements Could Reduce Aging-Related Chronic Inflammation https://www.sciencealert.com/cocoa-extract-supplements-could-reduce-aging-related-chronic-inflammation Study Finds Cocoa Extract Supplement Reduced Key Marker of Inflammation and Aging https://www.massgeneralbrigham.org/en/about/newsroom/press-releases/cocoa-extract-reduces-inflammation-aging
Effects of 2-year cocoa extract supplementation on inflammaging biomarkers in older US adults: findings from the COcoa Supplement and Multivitamin Outcomes Study randomised clinical trial https://doi.org/10.1093/ageing/afaf269

カカオが秘めた健康パワーとは?

私たちの体は、年を取るにつれて少しずつ体内での「炎症」が進んでいきます。

炎症と聞くと、怪我や風邪の時に赤く腫れたり熱が出たりする反応を思い浮かべるかもしれませんが、老化に伴う炎症はもっと静かで見えにくいものです。

こうした加齢とともに増していく体内の慢性的な炎症は、英語では「炎症老化(inflammaging)」と呼ばれ、最近の研究で、心筋梗塞や脳卒中、認知症など多くの加齢性疾患のリスク因子であることが分かってきました。

しかし、なぜ年を取ると炎症が高まるのか、そのメカニズムや抑制方法についてはまだ解明途上です。

その中で注目されているのが「フラバノール」という植物由来の成分です。

フラバノールは、カカオ豆や緑茶、リンゴ、ブドウ、ベリーなどに豊富に含まれており、抗酸化作用や血管保護作用があることで知られています。

特にチョコレートの原料であるカカオは、世界的にもフラバノールの宝庫として研究が盛んです。

今回の大規模研究では、60歳以上の約2万人の健康な高齢者を対象に、2年以上にわたってココア抽出物サプリメントを摂取するグループと、偽薬(プラセボ)グループを比較し、体内の炎症マーカーがどのように変化するかを調べました。

主な評価指標となったのは、「高感度CRP(hsCRP)」と呼ばれる炎症マーカーです。

この値が高いと、心筋梗塞など心血管疾患のリスクが上がることが分かっています。

研究の結果、ココア抽出物サプリメントを摂取したグループでは、hsCRPの値が毎年平均8.4%低下することが明らかになりました。

特に、もともと心血管疾患のリスクが高かった人ほど、その効果は顕著だったと報告されています。

次ページどこまで効果が期待できる?炎症と健康長寿の意外な関係

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